【個人事業主】年末までにやるべき節税対策|12月中に間に合う方法と注意点を税理士が解説

個人事業主の節税について、「年末までに何かできることはないか」「12月に入ってからでも間に合う対策はある?」と考えている方は多くいらっしゃいます。
結論からお伝えすると、個人事業主の所得税は1月〜12月の1年間で計算されるため、12月31日までに支払い・手続きを済ませた分だけがその年の節税になります。
逆にいえば、年末までに打てる手はまだいくつも残っています。
本記事では、個人事業主が12月中に間に合う節税対策と、やってはいけない「年末の駆け込み」の注意点を税理士が解説します。
今年の所得の見込みに合わせて、どの対策から手をつけるべきか判断できるようになります。
目次
年末の節税は「12月31日まで」が勝負
個人事業主の所得税は、その年の1月1日から12月31日までの所得をもとに計算します。
確定申告は翌年2月〜3月に行いますが、申告の時期になってから打てる節税策はほとんどありません。
年末の節税を考える前に、まずは次の2点を確認しておきましょう。
- 今年の売上と経費の見込み:11月までの帳簿を締めて、おおよその所得を把握する
- 適用される税率:所得税は所得が増えるほど税率が上がる累進課税(5〜45%)のため、所得が多い人ほど節税の効果が大きい
所得の見込みが分かれば、「経費を増やす対策」と「所得控除を増やす対策」のどちらにどれだけ力を入れるべきかが見えてきます。
経費を増やして節税する方法
来年買う予定の備品を前倒しで購入する
パソコンや事務用品など、来年に買い替える予定のものがあれば、年内に購入して使い始めることで今年の経費にできます。
ポイントは「購入」だけでなく「12月31日までに事業で使い始めていること」です。年末に注文して届くのが年明けになると、今年の経費にはなりません。
40万円未満の資産は一括で経費にできる(青色申告者)
通常、10万円以上の備品は「減価償却」として数年に分けて経費にします。
ただし、青色申告をしている個人事業主は「少額減価償却資産の特例」により、取得価額40万円未満の資産を購入した年に一括で経費にできます(年間合計300万円まで)。
この上限は令和8年度税制改正で30万円未満から40万円未満に引き上げられました。
1年分の費用をまとめて前払いする
事務所の家賃や保険料など、毎月同じサービスを受ける費用は、支払った日から1年以内のサービスに対応する分であれば、一定の要件のもとで支払った年の経費にできる場合があります(短期前払費用)。
ただし、毎年継続して同じ処理をすることが条件で、今年だけ前払いして経費を増やすような使い方は認められない点に注意が必要です。
所得控除を増やして節税する方法
小規模企業共済
小規模企業共済は、個人事業主や小規模企業の役員のための退職金制度です。
掛金(月1,000円〜70,000円)は全額が所得控除になり、最大で年84万円を所得から差し引けます。年内に加入して掛金を支払えば、その年の控除の対象になります。
ふるさと納税
ふるさと納税は、12月31日までに決済した寄附がその年の寄附金控除の対象です。
今年の所得の見込みが固まる年末は、控除上限額を計算しやすいタイミングでもあります。ただし、上限を超えた分は自己負担になるため、所得の見込みは慎重に見積もりましょう。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoの掛金も全額が所得控除になります。掛金は原則として毎月の口座引落しで、控除の対象になるのはその年に実際に引き落とされた掛金です。年末に慌てて加入しても今年の控除にはほとんど反映されないため、来年に向けた準備として検討するとよいでしょう。
▶関連コラム:【個人事業主の厚生年金の代わり】小規模企業共済、4つのメリット・2つのデメリットを解説

橋場先生
経費を使えば税金は減りますが、その分お金も出ていきます。手元にお金を残しながら税金を減らすなら、小規模企業共済のように「将来の自分に積み立てながら控除を受ける」方法から検討するのがおすすめです。
経営セーフティ共済で将来に備えながら節税する
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)は、取引先の倒産に備えるための共済制度です。
個人事業主の場合、掛金(月5,000円〜20万円)は事業所得の必要経費にでき、掛金総額800万円まで積み立てられます。
- 40か月以上掛金を納めていれば、解約時に掛金の全額が戻ってくる
- 解約して受け取った解約手当金は、受け取った年の事業所得の収入になる
- 一度解約すると、再加入後の一定期間は掛金を経費にできない見直しが行われている
今年の所得が多い年に掛金を経費にし、所得が少ない年や引退時に解約することで、税負担を平準化する使い方が一般的です。ただし、受け取り時の課税も見据えた計画が欠かせません。
▶関連コラム:経営セーフティ共済(倒産防止共済)を利用した駆け込み節税とは?決算期に加入する注意点、制度の概要も紹介
青色申告の65万円控除を取りこぼさない
青色申告をしている方は、要件を満たせば最大65万円の青色申告特別控除を受けられます。年末のうちに、次の要件を満たせているか確認しておきましょう。
- 複式簿記で帳簿をつけている
- 貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付する
- e-Taxで申告する、または帳簿を電子帳簿保存法の要件を満たして保存している
- 申告期限内に申告する
e-Taxでの申告ができないと、控除額が55万円に下がってしまいます。
帳簿づけが年末にたまっている方は、12月のうちに少しずつ進めておくと、申告期限直前に慌てずに済みます。
やってはいけない年末の「駆け込み節税」
年末の節税は効果がある一方で、やり方を間違えると税務調査で否認されたり、手元資金を減らすだけの結果になったりします。
- 事業に使わないものを購入する:私的な買い物は経費にならず、否認の対象になる
- 年明けに届くものを今年の経費にする:使い始めていない資産は今年の経費にできない
- 家事按分の割合を年末だけ大きくする:根拠のない按分は税務調査で指摘されやすい
- 節税のためだけに不要な支出をする:税金が減る額より、出ていくお金のほうが大きくなる
節税の目的は「手元に残るお金を増やすこと」です。税金を減らすことだけに目を向けず、事業に必要な支出かどうかを基準に判断しましょう。
▶関連コラム:税務調査が不安な方へ│対象になる条件や経費の内容、今からできる対策も解説

橋場先生
今年の所得の見込みを11月中に出しておけば、どの対策が一番効果的かを落ち着いて判断できます。12月に入ってからでは選べる対策が限られるので、早めの試算をおすすめします。
まとめ
▶関連コラム:ココが違う!ARK税理士事務所と一般的な税理士事務所│5つの強み、サポートの実例を紹介
個人事業主の節税は、12月31日までに支払い・手続きを済ませた分だけがその年の対策になります。備品の前倒し購入や40万円未満の少額減価償却資産の特例、小規模企業共済、経営セーフティ共済、ふるさと納税など、年末でも間に合う対策は少なくありません。
一方で、節税だけを目的にした支出は手元資金を減らすだけになりかねません。まずは今年の所得の見込みを出し、自分に合った対策を選ぶことが大切です。
本記事は令和8年度税制改正を踏まえた一般的な解説であり、個別の適用可否は事業の状況によって異なります。ARK税理士法人では、個人事業主の方の年末の節税シミュレーションから確定申告まで一貫してサポートしています。お気軽にご相談ください。
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