【税務調査の完全ガイド】対象になりやすい条件・流れ・よく聞かれる質問・対策を税理士が解説

突然、税務署から「税務調査を行います」と連絡が来たら、どう対応すればよいのでしょうか。
「何を調べられるの?」
「どんな質問をされる?」
「税務調査の対象になったということは、何か疑われている?」
「言ってはいけないことはある?」
このような不安を感じる経営者や個人事業主の方は少なくありません。
しかし、税務調査は事前に仕組みや流れを理解し、必要な資料を整理しておけば、落ち着いて対応できます。
また、税務調査の対象になる基準がすべて公表されているわけではありませんが、国税庁は申告書や各種資料情報、AIによるデータ分析などを活用して、調査の必要性が高いと判断した法人・個人を抽出していることを公表しています。
本記事では、税務調査の対象になりやすいケース、連絡を受けた直後にやること、調査の流れ、準備する資料、よく聞かれる質問、調査官との会話で避けたいNG対応、チェックされやすい経費、追徴課税、日頃からできる対策まで、税務調査についてまとめて解説します。
目次
そもそも税務調査とは?
税務調査とは、税務署や国税局が、法人や個人事業主などの申告内容について、帳簿や証憑、実際の取引内容などを確認し、税金が正しく申告・納付されているかを確認するために行う調査です。
税務調査というと「脱税を疑われている」と考えてしまう方もいますが、税務調査の対象になったからといって、不正が確定しているわけではありません。
調査の結果、申告内容に問題がなければ、その旨の通知を受けて終了します。
一方、売上の計上漏れや経費処理の誤りなどが確認された場合には、税務署から調査結果について説明を受け、修正申告を勧められたり、更正等が行われたりする場合があります。
一般的な税務調査は「任意調査」
一般の法人や個人事業主に対して税務署職員が行う税務調査の多くは、いわゆる「任意調査」です。
ただし、「任意」といっても、理由なくすべての質問や帳簿確認を拒否してよいという意味ではありません。
税務職員には国税通則法等に基づく質問検査権があり、納税者には正当な調査へ協力することが求められます。
一方で、質問の意図が分からない場合や、記憶が曖昧な場合に、その場で推測して答える必要はありません。
「資料を確認してから回答します」と伝え、正確な事実を整理したうえで回答することが大切です。
税務調査の対象期間は何年分?
税務調査では、一般的に過去数年分の申告内容が確認されます。
実際にどこまで遡って確認されるかは、税目や調査の内容、申告状況などによって異なります。
事前通知が行われる場合には、調査対象となる税目や課税期間なども通知されます。
また、調査を進める中で別の期間や税目について申告上の問題が疑われる場合には、確認範囲が広がることもあります。
税務調査の連絡が来たら最初にやること
税務署から調査の連絡を受けても、その場ですべてに回答する必要はありません。
まずは落ち着いて、以下の事項を整理しましょう。
【税務調査の連絡を受けた直後のチェックリスト】
- 税務署・国税局の名称
- 調査担当者の氏名・部署
- 連絡先
- 調査予定日時
- 調査場所
- 調査対象となる税目
- 対象となる課税期間
- 確認予定の帳簿・資料
- 顧問税理士への連絡
顧問税理士がいる場合はすぐに連絡する
顧問税理士がいる場合には、自分だけで対応を進める前に連絡しましょう。
税理士が税務代理を行っている場合、税理士へ事前通知が行われるケースもあります。
また、調査前に、
- どの資料を準備するか
- 過去の申告に問題がないか
- 調査官から何を聞かれそうか
- 経費等について説明できる資料があるか
などを税理士と整理することで、当日の対応がしやすくなります。
調査日程は合理的な理由があれば調整できる
税務署から提示された日程に、必ずそのまま従わなければならないわけではありません。
国税庁も、合理的な理由がある場合には調査日時・場所の変更について協議できると案内しています。
たとえば、
- 経営者が長期出張中
- 顧問税理士の予定が合わない
- 業務上どうしても対応できない日程
などの場合は、担当者へ相談しましょう。
資料が揃っていない状態で無理に調査を受けるより、必要な準備ができる日程に調整することが重要です。
税務調査の対象になりやすい条件はある?
「売上がいくらになったら税務調査が来る」「この経費を使ったら税務調査に入られる」といった明確な基準はありません。
国税庁は税務調査の具体的な選定基準をすべて公開しているわけではないため、「この条件なら必ず調査される」という情報には注意が必要です。
一方で、国税庁は、申告書・各種資料情報・過去の調査結果などを分析し、法人についてはAIも活用して「調査必要度の高い法人」を抽出していることを公表しています。
個人についても、資料情報の分析やAIなどを活用した選定が行われています。
売上・利益・経費に大きな変動や不自然な点がある
申告書の数字に大きな変化がある場合、その理由について確認される可能性があります。
たとえば、
- 売上が大きく増えているのに利益が急減している
- 特定の経費だけ前年から大幅に増えている
- 粗利益率が前年と大きく変わっている
- 売上規模に対して特定の支出が非常に大きい
などです。
もちろん、合理的な理由があれば問題ありません。
新店舗の開業、人材採用、大規模な広告投資、原材料費の高騰など、数字が変化した理由を資料とともに説明できる状態にしておくことが重要です。
国税庁が重点的に確認している取引に該当する
国税庁は近年の調査事績で、特に次の分野などについて重点的に調査していることを公表しています。
【国税庁が重点的に取り組んでいる主な分野の例】
- 消費税の不正還付が疑われる取引
- 海外取引・海外資産
- 無申告
- インターネットを利用した取引
- 暗号資産等の取引
- 富裕層に関する取引
これらに該当するだけで税務調査が決まるわけではありません。
ただし、国税庁が資料情報の収集・分析を重点的に行っている分野であることは把握しておきましょう。
(参考)国税庁 令和6事務年度における所得税及び消費税調査等の状況
過去の調査で指摘を受けた項目が改善されていない
過去に税務調査を受けている場合、以前指摘された項目について現在どのように処理しているかは重要です。
たとえば、以前の調査で売上計上時期や交際費、外注費などについて指摘を受けたにもかかわらず、同様の処理を継続している場合には、再び確認される可能性があります。
過去の調査結果は、新しい税理士へ変更する場合にも必ず引き継ぎましょう。
申告内容と第三者から得られる情報に差がある
税務署は納税者本人の申告書だけを見ているわけではありません。
取引先の申告情報や法定調書、国外送金等調書、各種資料情報など、さまざまな情報を収集・分析しています。
そのため、外部から把握できる取引と申告内容に不整合がある場合には、確認を受ける可能性があります。

橋場先生
「この経費を使ったから税務調査が来る」「売上が〇円を超えたから必ず調査される」といった単純な基準があるわけではありません。
重要なのは、申告書の数字と実際の取引が一致し、数字が大きく変化した場合にも理由を説明できる状態を作っておくことです。
過去の申告内容に不安がある場合は、調査の連絡が来る前に一度確認しておくことをおすすめします。
税務調査の基本的な流れ【6ステップ】
税務調査の大まかな流れを確認しておきましょう。
【税務調査の流れ】
- 調査の連絡・事前通知
- 税理士との打ち合わせ・日程調整
- 資料準備・事前確認
- 実地調査
- 調査結果の説明
- 必要に応じて修正申告・更正等
【ステップ1】調査の連絡・事前通知
実地調査を行う場合、原則として税務署等から事前に連絡があります。
ここで元記事から特に注意したいのが、事前通知は原則として「書面が郵送される」のではなく、電話等により口頭で行われるという点です。
国税庁によると、通常は、
- 調査を行う旨
- 調査開始日時
- 調査場所
- 調査目的
- 対象税目
- 対象期間
- 確認対象となる帳簿書類等
などが通知されます。
なお、一定の場合には、事前通知を行わずに実地調査が行われることもあります。
【ステップ2】税理士との打ち合わせ・日程調整
調査日程が決まったら、税理士と事前打ち合わせを行います。
調査対象期間の申告書や帳簿を確認し、特に説明が必要になりそうな取引を整理します。
たとえば、
- 金額の大きな経費
- 役員・家族との取引
- 海外取引
- 現金取引
- 固定資産の売買
- 例年とは異なる取引
などです。
【ステップ3】資料準備・事前確認
調査対象となる税目・期間を確認し、必要な帳簿・資料を準備します。
【税務調査で準備する主な資料】
- 法人税・所得税・消費税等の申告書
- 決算書
- 総勘定元帳
- 現金出納帳
- 預金通帳
- 売上台帳
- 請求書
- 領収書
- 契約書
- 給与台帳・源泉徴収関係資料
- 固定資産台帳
- 会計ソフトのデータ
- 必要に応じてメールや取引履歴など
資料を整理する際に重要なのは、調査前に帳簿や証拠を作り変えたり、都合の悪い資料を削除したりしないことです。
誤りに気付いた場合には、自分で修正・隠蔽するのではなく、まず税理士へ相談しましょう。
【ステップ4】実地調査
調査当日は、税務署等の調査官が会社・店舗・事務所などを訪れ、事業内容の確認や帳簿・証憑等の確認を行います。
調査日数は事業規模や調査内容によって異なり、一律に決まっているわけではありません。
比較的小規模な事業者では1日から数日程度で現地確認が終了することもありますが、確認事項が多い場合には、その後も資料提出や質問への回答が続くことがあります。
当日は、最初に会社概要や事業内容について聞かれ、その後、売上・仕入・経費などの具体的な確認へ進むのが一般的です。
【ステップ5】調査結果の説明
調査が進み、税務署側の確認が完了すると結果の説明があります。
申告内容に問題が認められない場合には、原則として「更正決定等をすべきと認められない旨」の通知が行われます。
一方、申告内容に誤りがあると判断された場合には、その内容・金額・理由などについて説明を受けます。
税務署から指摘された内容について疑問がある場合には、すぐに結論を出さず、税理士と税法上の根拠を確認しましょう。
【ステップ6】必要に応じて修正申告・更正等
指摘内容を確認し、自社側でも申告に誤りがあると判断した場合には、修正申告を行うことがあります。
一方、税務署の見解に同意せず修正申告を行わない場合には、税務署による更正等が行われる可能性があります。
税金が追加で発生する場合には、本税だけではなく、状況に応じて過少申告加算税・無申告加算税・重加算税・延滞税などが発生することがあります。
| 種類 | 主なケース | 一般的な税率の例 |
|---|---|---|
| 過少申告加算税 | 期限内に申告したが税額が少なかった場合 | 原則10%、一定部分15%など |
| 無申告加算税 | 期限までに申告していなかった場合 | 調査後は15%・20%・30%など |
| 重加算税 | 隠蔽・仮装が認められる場合 | 35%・40%など |
実際の割合は、申告時期や過去の加算税の状況などによって異なります。
税務調査でよく聞かれる質問は?
税務調査では、いきなり細かな経費だけを確認するとは限りません。
まず会社や事業について理解するため、経営者へ基本的な質問を行い、その回答と帳簿・申告内容が一致しているかを確認していきます。
会社・事業内容についての質問
最初に聞かれやすいのが、会社の基本的な事業内容です。
【質問例】
- どのような事業を行っていますか?
- 主な取引先はどこですか?
- どのような流れで売上が発生しますか?
- 代金は現金・振込・カードのどれで受け取りますか?
- 仕入先や外注先はどのように決めていますか?
- 従業員は何名いますか?
- 経理は誰が担当していますか?
こうした質問は、単なる世間話ではなく、帳簿上の数字と実際の事業活動が一致しているかを理解するためのものです。
売上についての質問
売上は税額に直接影響するため、重要な確認項目です。
たとえば、
- この入金はどの取引先からですか?
- 売上を計上するタイミングはいつですか?
- 現金売上はどのように管理していますか?
- 期末前後の売上はどのように処理していますか?
- 個人口座へ売上が入金されることはありますか?
などが確認されることがあります。
経費についての質問
経費については、支出した事実だけではなく、事業との関連性や、金額・処理方法が適切かが確認されます。
たとえば、
- この会食は誰と行ったものですか?
- 何の目的で支払った費用ですか?
- この外注先はどのような業務をしていますか?
- このパソコンは業務専用ですか?
- 自宅家賃のうち何%を経費にしていますか?
などです。
「雑談」に見えて確認の意味がある質問にも注意
No.28の記事で特に重要だったのが、税務調査中の何気ない会話です。
調査官との会話のすべてを警戒する必要はありませんが、趣味・家族・休日の過ごし方などの会話が、帳簿上の経費や家族給与の実態を確認する材料になることがあります。
ゴルフ・旅行など経営者の趣味
ゴルフ代や旅行費が会社の経費に含まれている場合、事業との関連性について確認されることがあります。
たとえば、
- ゴルフにはよく行きますか?
- 休日はどのように過ごしていますか?
- 最近旅行へ行きましたか?
- このゴルフ代は誰と行ったものですか?
などです。
業務上必要な接待と私的な趣味が両方ある場合には、日頃から明確に区分しておきましょう。
家族構成・家族の仕事内容
家族へ給与を支払っている会社・個人事業主では、実際の勤務実態について確認される場合があります。
たとえば、
- 奥様・ご家族はどのような仕事をしていますか?
- 週に何日出勤していますか?
- 勤務時間はどれくらいですか?
- 給与額はどのように決めましたか?
などです。
家族だから問題になるのではなく、実際の勤務実態と給与の内容が一致しているかが重要です。
飲み会・接待
交際費・会議費などに飲食代が多い場合には、
- 誰と行ったのか
- 何人だったのか
- どのような目的だったのか
- 事業とどのような関係があるのか
を説明できるようにしておきましょう。
領収書だけでは後から思い出せないことが多いため、参加者や目的を日頃から記録しておく方法が有効です。
自動車の利用状況
社用車については、プライベート利用との区分を確認されることがあります。
「休日は誰が利用しているか」「自宅にも持ち帰っているか」などを聞かれる可能性があります。
事業用・私用の両方で利用している場合には、合理的な基準で処理していることを説明できるようにしておきましょう。
私的な買い物・高額な支出
時計、家具、家電、ブランド品など、私生活でも利用できるものが会社経費に計上されている場合には、その用途が確認されることがあります。
会社名義で購入しているという事実だけで、自動的に経費になるわけではありません。
業務上の必要性を説明できることが重要です。
税務調査でチェックされやすい経費6つ
No.64で紹介していた内容も統合し、特に説明資料を準備しておきたい経費を整理します。
| 経費 | 確認されやすいポイント |
|---|---|
| 家族への給与 | 勤務実態、仕事内容、給与額の妥当性 |
| 外注費 | 取引実態、契約内容、架空・水増しがないか |
| 交際費・会議費 | 参加者、目的、私的支出ではないか |
| 消耗品費・備品 | 資産計上の要否、取得価額、使用実態 |
| 家賃等 | 事業使用部分と私的利用部分の区分 |
| 雑費 | 具体的な支出内容・金額・用途 |
家族への給与
家族へ給与を支払うこと自体が問題なのではありません。
重要なのは、実際に業務へ従事しており、その仕事内容や勤務時間などに対して給与額が合理的であることです。
勤務表、業務日報、メールなどがあると、勤務実態を説明しやすくなります。
外注費
国税庁の最新の法人税調査事績でも、AI・データ分析を用いて不審な外注費を抽出し、架空外注費等を把握した事例が紹介されています。
外注費については、
- 契約書
- 請求書
- 納品物
- 業務報告
- 振込記録
など、実際にサービス提供を受けたことを確認できる資料を整理しましょう。
交際費・会議費
交際費は私的な飲食との区別が問題になりやすいため、参加者・目的などを説明できる状態にしておくことが大切です。
消耗品費・備品
パソコンや家具、機械などは、金額や利用できる税制によって、一括で経費にできる場合と固定資産として処理する場合があります。
「30万円以下なら必ず全額経費になる」などと単純に判断するのではなく、法人・個人の区分や適用する特例の要件を確認しましょう。
家賃・自宅兼事務所
自宅の一部を事務所として使用している個人事業主などでは、事業部分と家事部分を合理的に区分する必要があります。
面積、使用時間など、自社で採用した按分基準について説明できる状態を作りましょう。
雑費
雑費という勘定科目そのものが問題なのではありません。
ただし、雑費の金額が大きく、その中身を説明できない場合には詳細を確認される可能性があります。
可能な範囲で具体的な勘定科目を使用し、支出内容を分かるようにしておきましょう。
税務調査で避けたい「言ってはいけないこと・NG対応」
税務調査で最も重要なのは、調査官を言い負かすことではありません。
事実を正確に伝え、分からないことは確認してから回答し、虚偽の説明をしないことです。
NG1:曖昧な記憶のまま答える
質問を受けると、「すぐに答えなければ」と感じる方もいるでしょう。
しかし、数年前の取引について完璧に覚えているとは限りません。
たとえば、
「多分〇〇社だったと思います」
「おそらく出張費だったはずです」
と推測で答え、その後の資料と回答内容が食い違うと、追加確認が必要になることがあります。
分からない場合は、「現在は正確に覚えていないので、資料を確認して回答します」と伝えましょう。
NG2:嘘をつく・事実を大きく見せる
自社に有利になるように事実と異なる回答をすることは避けてください。
たとえば、実際には私的利用している車について「100%業務だけに使っています」と答えたり、家族がほとんど働いていないにもかかわらず「毎日勤務しています」と答えたりする行為です。
帳簿・取引先情報・その他の資料との間で矛盾が生じれば、かえって問題が大きくなる可能性があります。
NG3:冗談で不正をほのめかす
税務調査中は、冗談や軽い発言にも注意しましょう。
たとえば、
「現金商売だから多少は分からないですよ」
「みんなこれくらい経費にしてますよね」
「領収書がなくても適当に処理しています」
といった発言です。
冗談のつもりでも、調査官から「さらに確認が必要な事項がある」と判断される可能性があります。
NG4:聞かれていない情報まで大量に話す
質問には必要な範囲で正確に答えましょう。
緊張すると、沈黙を避けるために必要以上に話してしまう場合があります。
ただし、「何も答えない」「協力しない」という意味ではありません。
質問された内容を理解し、その質問へ正確に回答するという姿勢が大切です。
NG5:税務署の指摘をその場ですべて認める
反対に、調査官から指摘を受けたからといって、その場ですぐに「分かりました、全部修正します」と回答する必要もありません。
税法上の判断や事実認定について、自社と税務署で見解が異なるケースもあります。
疑問がある場合には、
「税理士と確認してから回答します」
と伝え、根拠を整理しましょう。
税務調査に備えるための7つの対策
税務調査対策は、調査の電話が来てから始めるものだけではありません。
最も重要なのは、普段から正確な帳簿と証拠資料を残しておくことです。
1.売上を正しい時期にすべて計上する
税務調査で特に重要なのが売上です。
請求・入金のタイミングだけで判断せず、自社が採用する会計・税務上の適切な基準に沿って売上を計上しましょう。
期末前後の売上や現金売上については特に確認が必要です。
2.領収書だけでなく経費の「目的」も記録する
領収書があるだけで、必ず経費として認められるわけではありません。
交際費であれば、
- 誰と
- 何の目的で
- いつ
- どこで
利用したのか記録しておくと、数年後に調査が行われても説明しやすくなります。
3.家族・関連会社との取引は特に根拠を残す
親族や自社グループとの取引では、第三者との取引以上に金額や条件の合理性を説明することが重要です。
契約書、給与規程、業務内容、実際の支払いなどを整理しておきましょう。
4.私的支出と会社経費を明確に分ける
法人カード・会社口座をプライベートの支払いに利用すると、経理処理が複雑になります。
可能な限り会社と個人の支払いを分離しましょう。
やむを得ず私的支出が混在する場合には、正しい勘定科目で処理する必要があります。
5.電子データも適切に保存する
近年は紙の領収書だけでなく、
- PDF請求書
- ネット通販の購入履歴
- クレジットカード明細
- 電子契約
- メールで受領した請求情報
など、電子データで取引資料を保管する機会が増えています。
電子帳簿保存法を含む保存ルールに沿って整理しておきましょう。
6.申告前に前年との数字を比較する
申告書を提出する前に、前年と比較して、
- 売上
- 粗利益率
- 人件費
- 外注費
- 交際費
- 雑費
などが大きく変化していないか確認しましょう。
大きく変わっている場合には、原因を整理しておくことで、経営分析にも税務調査対策にもつながります。
7.税理士へ日頃から確認してもらう
税務調査の連絡を受けてから税理士へ相談することもできますが、日頃から会計・税務処理を確認してもらうことで、調査前に問題点を発見できる場合があります。
ARK税理士法人では、税務調査の事前準備、調査当日の立会い、調査後の対応までサポートしています。
書面添付制度も選択肢のひとつ
税理士法第33条の2に基づく書面添付制度を利用する方法もあります。
書面添付が行われている申告について税務調査を実施しようとする一定の場合には、税理士に対して事前に意見を述べる機会が設けられます。
ただし、書面添付を行えば必ず税務調査が来なくなるという制度ではありません。
申告内容について税理士がどのように確認したかを示し、税務署との情報共有を円滑にする仕組みとして理解しましょう。
▶関連コラム:税務調査が来なくなる!?書面添付制度について税理士が徹底解説!

橋場先生
税務調査で最も大切なのは、「調査官に何を言えば乗り切れるか」を考えることではありません。
日頃から正確に帳簿を作り、取引の根拠を残し、質問を受けたときに事実を説明できる状態を作っておくことです。
ARK税理士法人では、過去の申告や経費処理に不安がある段階から、税務調査の通知を受けた後の対応までサポートしています。
税務調査に関するよくある質問(FAQ)
Q1:税務調査はどれくらいの頻度で来ますか?
A:会社や個人ごとに「何年に1回」と決まっているわけではありません。
以前の記事では「法人は50年に1回、個人は100年に1回程度」といった表現をしていましたが、単純に全国の件数を割った数値を個々の納税者の調査確率として扱うことは適切ではありません。
国税庁によると、令和6事務年度には法人税等について約5万4千件の実地調査が行われています。
個人の所得税についても約4万7千件の実地調査が行われています。
ただし、調査対象は無作為に均等選定されるのではなく、申告書や資料情報の分析などによって調査必要度を判断して選定されています。
Q2:税務調査は突然来ますか?
A:実地調査では原則として事前通知がありますが、例外的に無予告で行われる場合もあります。
国税庁は、事前通知をすると違法・不当な行為を容易にしたり、正確な税額把握が困難になったりするおそれがある場合などには、事前通知を行わないことがあるとしています。
Q3:税務調査では何年分の資料を用意すればよいですか?
A:まず事前通知で伝えられた調査対象期間の資料を準備しましょう。
会社によって対象期間は異なります。
また、調査の途中で別の期間等について確認が必要になる場合もあるため、顧問税理士と相談して過年度資料を整理しておくと安心です。
Q4:質問に答えられないと問題になりますか?
A:その場で思い出せないことがあること自体は珍しくありません。
推測で回答せず、「確認して回答します」と伝え、帳簿・領収書・メール等を確認して正確に回答しましょう。
Q5:税務署から指摘されたら必ず修正申告しなければなりませんか?
A:指摘内容について、事実関係や税法上の根拠を確認することが重要です。
内容に納得できない場合には税理士と確認し、自社の見解を説明できます。
修正申告を行わない場合、税務署が更正等を行う場合があります。
Q6:税務調査で必ず追徴課税されますか?
A:いいえ。調査を受けたからといって必ず追加納税が発生するわけではありません。
申告内容に問題がないと判断されれば、更正決定等をすべきと認められない旨の通知を受けて調査が終了します。
Q7:税理士がいなくても税務調査に対応できますか?
A:納税者自身で対応することは可能です。
ただし、税法上の判断や調査官との論点整理が必要になる場合もあります。
特に、過去の申告に不安がある場合や、金額の大きな指摘を受けている場合には、税務調査対応に詳しい税理士へ相談することをおすすめします。
Q8:顧問税理士がいなくても調査の連絡後に依頼できますか?
A:調査の通知を受けた後から税理士へ依頼することも可能です。
調査開始前に税務代理権限証書を提出し、新たに税務代理人となった税理士が対応するケースもあります。
ただし、過去の取引内容を確認する時間が必要なため、連絡を受けたらできるだけ早めに相談しましょう。
まとめ|税務調査は「流れ・質問・根拠」を把握して備えよう
税務調査の連絡を受けると、不安になるのは自然なことです。
しかし、税務調査の流れと確認されるポイントを理解しておけば、必要以上に恐れる必要はありません。
【税務調査で特に押さえておきたいポイント】
- 調査の連絡を受けたら対象税目・期間・日程等を確認する
- 顧問税理士がいる場合は早めに連絡する
- 事前通知は原則として電話等による口頭で行われる
- 必要資料を調査前に整理する
- 対象選定の具体的な基準はすべて公開されているわけではない
- 国税庁はAIや各種資料情報を調査対象選定に活用している
- 売上・経費・家族給与・外注費などについて根拠を説明できるようにする
- 分からない質問に推測で答えない
- 虚偽の説明や資料の改変・削除を行わない
- 税務署からの指摘にも税法上の根拠を確認して対応する
- 最も有効な対策は日頃から正しい帳簿と証拠を残すこと
税務調査は、当日の「受け答えだけ」で結果が決まるものではありません。
日頃どのように帳簿を作成し、売上や経費の根拠を残し、正しく申告しているかが重要です。
「税務署から調査の連絡が来て、何をすればいいかわからない」
「よく聞かれる質問について事前に準備したい」
「経費処理に不安があり、調査前に確認してほしい」
「顧問税理士はいないが、税務調査だけ対応してほしい」
このようなお悩みをお持ちの方は、ARK税理士法人までお気軽にご相談ください。
調査前の申告内容・帳簿の確認から、必要資料の整理、調査当日の立会い、税務署とのやり取り、調査後の対応までサポートいたします。
Contact
We will support you like a butler.



