【決算申告とは?】期限・必要書類・作成手順を解説|期限後のペナルティ・赤字還付まで

「初めての決算申告で、何から手を付ければいいかわからない」
「法人の決算申告は、いつまでに何を提出すればいい?」
「申告期限を過ぎたら、どのようなペナルティがある?」
「赤字決算になった場合、前期に払った法人税は戻ってくる?」
事業年度の終わりが近づくと、多くの経営者や経理担当者を悩ませるのが「決算申告」です。
法人の決算申告では、1年間の会計データを整理して決算書を作成するだけではありません。
会計上の利益を税法上の所得へ調整し、法人税・地方法人税・地方税、課税事業者であれば消費税などを計算して、期限までに申告・納税する必要があります。
さらに、2026年4月1日以後に開始する事業年度については、対象となる法人では防衛特別法人税についても確認が必要です。
また、決算が赤字だからといって「申告しなくてよい」「税金は一切発生しない」とは限りません。青色申告法人で一定の要件を満たす場合には、赤字を翌期以降へ繰り越す方法だけでなく、前期の所得へ繰り戻して法人税の還付を請求する「欠損金の繰戻しによる還付」を利用できる場合もあります。
本記事では、決算申告とは何か、申告期限、必要書類、作成手順、期限を過ぎた場合のペナルティ、赤字決算時の欠損金の繰越・繰戻し還付まで、法人の決算申告に必要な知識をまとめて解説します。
目次
- 1 決算申告とは?法人が1年間の利益と税額を確定する手続き
- 2 決算申告は「単なる報告」ではない|ARK税理士法人が考える申告の本質
- 3 法人の決算申告期限はいつ?原則「決算日の翌日から2か月以内」
- 4 法人の申告期限を延長できる場合もある
- 5 決算申告の期限を過ぎるとどうなる?ペナルティを解説
- 6 決算申告に必要な書類|「提出書類」と「根拠資料」を分けて確認
- 7 決算申告の作成手順|6ステップで確認
- 8 赤字決算でも決算申告は必要|税金がゼロとは限らない
- 9 赤字が出たら「欠損金の繰越控除」と「繰戻し還付」を確認
- 10 決算前に確認しておきたいチェックリスト
- 11 ARK税理士法人ができる決算・申告サポート
- 12 決算申告に関するよくある質問(FAQ)
- 13 まとめ|決算申告は期限・必要書類・赤字時の制度まで確認しよう
決算申告とは?法人が1年間の利益と税額を確定する手続き
決算申告とは、簡単にいうと、事業年度の会計帳簿を締めて決算書を作成し、その内容をもとに法人税などの税額を計算して税務署等へ申告する一連の手続きです。
「決算」と「申告」は同じように使われることがありますが、厳密には役割が異なります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 決算 | 事業年度の売上・経費・資産・負債などを整理し、会社の経営成績・財政状態を確定する |
| 決算書作成 | 貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書などを作成する |
| 税務申告 | 会計上の利益を税法上の所得へ調整し、法人税等を計算して申告書を提出する |
| 納税 | 計算した法人税・地方税・消費税等を期限までに納付する |
つまり、会計ソフトから損益計算書が出力できれば決算申告が完了するわけではありません。
会計上は経費になっていても税法上は損金にならないものや、反対に税制上の特例・税額控除を適用できるものなどを確認し、税務申告書へ反映する必要があります。
法人が決算時に申告する主な税金
会社の状況によって異なりますが、法人の決算時には主に次の税金を確認します。
【法人の決算時に確認する主な税金】
- 法人税
- 地方法人税
- 防衛特別法人税(対象となる事業年度・法人)
- 法人住民税
- 法人事業税
- 特別法人事業税
- 消費税・地方消費税(課税事業者の場合)
法人税は国税ですが、法人住民税・法人事業税などは地方税です。
そのため、法人税申告書を税務署へ提出するだけでは決算申告は完了しません。
決算申告は「単なる報告」ではない|ARK税理士法人が考える申告の本質
多くの経営者にとって、決算申告は「税務署へ申告書を提出するために行うもの」という認識が強いかもしれません。
しかし、ARK税理士法人では、決算申告を税務上の義務を果たすだけでなく、会社の現在地を確認し、次年度の経営判断につなげる重要な機会と考えています。
会計ソフトだけでは判断できない税務処理がある
クラウド会計や会計ソフトの進化によって、日々の記帳や決算書作成は以前より効率化されています。
一方で、会計ソフトへ入力できることと、その税務処理が正しいことは同じではありません。
たとえば、次のような事項には個別判断が必要です。
- 交際費・会議費など経費区分の判断
- 修繕費と資本的支出の判定
- 減価償却方法・耐用年数の確認
- 役員報酬・役員賞与の税務処理
- 消費税・インボイスの税区分
- 賃上げ促進税制など税額控除の適用可否
- 欠損金の繰越・繰戻し還付の選択
申告書を提出できたからといって、税務処理の正確性まで保証されたわけではありません。
決算時に根拠を確認しながら正しい処理を積み上げておくことが、将来税務調査を受けた場合にも説明できる決算書・申告書につながります。
▶関連コラム:【税務調査の完全ガイド】対象になりやすい条件・流れ・よく聞かれる質問・対策を税理士が解説
決算書は金融機関や取引先からも見られる
決算書を確認するのは税務署だけではありません。
金融機関から融資を受ける際には、過去の決算書や直近の試算表などが重要な判断材料になります。
また、大口取引や新規取引の際に財務内容を確認されるケースもあります。
そのため、税金を少なくすることだけを目的に利益を必要以上に小さくすればよいわけではありません。
税負担・資金繰り・金融機関からの評価・今後の投資計画まで含めて、会社にとって適切な決算を考えることが重要です。

橋場先生
ARK税理士法人では、決算を単なる納税手続きで終わらせないことを重視しています。
「今期はなぜ利益が増えたのか」「現金が残っているのか」「来期はどこへ投資するべきか」まで数字を確認することで、決算書を次の経営判断へ活用できます。
決算申告だけでなく、来期の資金繰りや経営計画まで相談したい方はお気軽にご相談ください。
法人の決算申告期限はいつ?原則「決算日の翌日から2か月以内」
法人税の確定申告書は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内に提出します。
法人税だけでなく、法人の消費税についても原則として課税期間終了日の翌日から2か月以内に申告・納税します。
【申告期限の例】
- 3月31日決算法人:原則5月31日
- 6月30日決算法人:原則8月31日
- 9月30日決算法人:原則11月30日
- 12月31日決算法人:原則翌年2月末日
申告期限が土日・祝日の場合は翌日へ
申告期限が土曜日・日曜日・祝日等に当たる場合には、原則としてその翌日が期限となります。
たとえば5月31日が日曜日の場合には、原則として翌日の6月1日が期限です。
申告だけでなく「納税」も同じ期限までに行う
決算申告では、「申告書を提出したから完了」ではありません。
計算した税金についても、原則として法定納期限までに納付する必要があります。
納税方法には、
- ダイレクト納付
- インターネットバンキング
- クレジットカード納付
- 金融機関・税務署での納付
などがあります。
税額が大きくなることが予想される場合には、決算直前になって慌てないよう、期中から納税見込額を把握して資金を確保しておきましょう。
期限直前ではなく、決算前から準備することが重要
「決算後2か月あるから、決算日を迎えてから準備すればよい」と考えるのはおすすめできません。
決算日を迎えた後に実施する業務だけでも、
- 請求書・領収書の回収
- 売掛金・買掛金の確認
- 在庫の確定
- 固定資産・減価償却の確認
- 未払費用・前払費用等の決算整理
- 法人税等の税額計算
- 申告書・内訳書等の作成
など、多くの作業があります。
また、節税対策の中には決算日を過ぎてからでは実行できないものもあります。
そのため、決算の2〜3か月前から利益・納税額の見込みを確認しておくとスムーズです。
法人の申告期限を延長できる場合もある
法人税については、一定の事情がある法人について申告期限を延長できる制度があります。
定款等の定めによる申告期限延長
たとえば、定款等の定めにより、事業年度終了後2か月以内に定時株主総会を開催して決算を確定できない常況にある法人などは、所定の申請を行うことで法人税の申告期限を原則1か月延長できる場合があります。
申請は原則として、最初に適用を受けようとする事業年度終了の日までに行います。
(参考)国税庁 定款の定め等による申告期限の延長の特例の申請
法人税を延長しても消費税は別途手続きが必要
法人税の申告期限が延長されている会社が、消費税の申告期限も1か月延長したい場合には、「消費税申告期限延長届出書」を提出する制度があります。
法人税の延長手続きをしただけで、すべての税金の期限が自動的に同じように変わるとは限らない点に注意しましょう。
申告期限を延長しても税負担がなくなるわけではない
期限延長の特例を利用した場合でも、納付時期との関係で利子税が発生する場合があります。
実務では、税額を見積もって法定納期限までに見込納付することもあります。
申告期限の延長と納税スケジュールは分けて確認しましょう。
決算申告の期限を過ぎるとどうなる?ペナルティを解説
No.18で詳しく解説していた「期限後申告」の内容も、ここでまとめて確認します。
申告期限を過ぎた場合には、本来納める税金とは別に、状況によって無申告加算税や延滞税などが発生することがあります。
無申告加算税|期限までに申告しなかった場合
正当な理由なく法定申告期限までに申告しなかった場合には、無申告加算税が課される場合があります。
税率は、税務署から指摘される前に自主的に期限後申告したか、調査通知後か、調査を受けた後かなどによって異なります。
| 状況 | 主な取扱い |
|---|---|
| 税務署の調査通知等を受ける前に自主的に期限後申告 | 原則5%となる場合がある |
| 調査等を受けた後の期限後申告 | 50万円以下15%、50万円超300万円以下20%、300万円超30%など |
実際の税率は、期限後申告を行った時点や過去の無申告状況などによって変わります。
そのため、期限を過ぎたことに気付いたら、放置せず1日でも早く対応することが重要です。
延滞税|納税が遅れた場合
申告だけでなく、税金の納付が法定納期限に遅れた場合には延滞税が発生する場合があります。
延滞税は、納期限の翌日から実際に納付する日までの日数に応じて計算されます。
2026年中の割合は次のとおりです。
【2026年の延滞税割合】
- 納期限の翌日から2か月を経過する日まで:年2.8%
- その翌日以後:年9.1%
※一定の計算ルール・期間があります。
延滞税の割合は毎年変わる可能性があるため、実際に期限後納付となる場合は最新情報を確認してください。
重加算税|隠蔽・仮装がある場合
単なる入力ミスや計算間違いではなく、売上を意図的に隠したり、架空経費を計上したりするなど、課税標準等の計算の基礎となる事実について隠蔽・仮装が認められた場合には重加算税が課されることがあります。
- 過少申告に代えて課される重加算税:35%
- 無申告加算税に代えて課される重加算税:40%
さらに、一定の繰り返しがある場合には加重措置が適用されることもあります。
青色申告は「1日遅れたら即取消し」ではない
決算申告が期限後になった場合、「1日でも遅れれば青色申告が取り消される」と考える方もいますが、正確ではありません。
国税庁の事務運営指針では、無申告・期限後申告について、原則として2事業年度連続して期限内に法人税申告書の提出がない場合に青色申告承認を取り消すという取扱いが示されています。
ただし、期限後申告を繰り返してよいという意味ではありません。
青色申告の承認が取り消されれば、欠損金や各種税制上の取扱いに大きな影響が生じる可能性があります。
すでに期限を過ぎている場合は放置しない
すでに申告期限を過ぎている場合に最も避けたいのが、「どうせ間に合わなかったから」と放置することです。
まず、現在どこまで帳簿が整理できているかを確認し、可能な限り早く申告へ進みましょう。
納税資金が足りない場合も、無申告のまま放置するのではなく、申告と納付を分けて考え、税務署や税理士へ相談することが大切です。
▶関連コラム:【確定申告】無申告の時効は何年?「バレた」場合の罰則、ダメージを最小化する方法も解説

橋場先生
申告期限が近い、あるいは既に過ぎている場合でも、放置することが最も大きなリスクになります。
帳簿が途中までしかできていない場合でも、現在の状況を確認すれば、優先順位をつけて申告までのスケジュールを整理できます。
ARK税理士法人では、期限直前・期限後の決算についても、まず現在の資料状況を確認したうえで対応方法をご案内しています。
決算申告に必要な書類|「提出書類」と「根拠資料」を分けて確認
決算申告の書類については、税務署等へ提出する「申告書類」と、数字を作るために社内で準備・保存する「根拠資料」に分けると理解しやすくなります。
税務署へ提出する主な書類
【主な提出書類】
- 法人税申告書・各種別表
- 決算報告書
- 勘定科目内訳明細書
- 法人事業概況説明書
- 適用額明細書(対象となる租税特別措置を適用する場合など)
- 消費税申告書(課税事業者の場合)
- 地方税申告書
決算報告書(財務諸表)
代表的な財務諸表には次のものがあります。
- 貸借対照表(B/S):決算日時点の資産・負債・純資産を表す
- 損益計算書(P/L):事業年度の売上・費用・利益を表す
- 株主資本等変動計算書:純資産の変動を表す
法人税申告書
決算書に計上された会計上の利益へ、税法上必要となる加算・減算などの調整を行い、法人税額を計算します。
別表一、別表四、別表五(一)など、会社の状況に応じて複数の別表を使用します。
勘定科目内訳明細書
預貯金、売掛金、買掛金、借入金、役員報酬など、決算書に記載された主要な勘定科目の内訳を記載する書類です。
法人事業概況説明書
会社の事業内容、従業員数、主要科目の状況、月別売上高など、会社の概況を記載します。
決算作業に必要となる根拠資料
【決算時に準備したい主な資料】
- 預金通帳・銀行明細
- 請求書・納品書
- 領収書・レシート
- クレジットカード明細
- 売掛金・買掛金一覧
- 在庫・棚卸表
- 固定資産台帳
- 借入金返済予定表
- リース契約書
- 不動産・車両等の売買契約書
- 給与台帳
- 社会保険関係資料
- 株主総会議事録・役員報酬関係資料
- 過去の申告書・届出書
電子取引によって受け取った請求書・領収書等については、電子帳簿保存法に沿った保存も必要です。
▶関連コラム:電子帳簿保存法の保全要件とは?確定申告に向けて効率的に管理できる「プロの管理法」もご紹介
決算申告の作成手順|6ステップで確認
【決算申告の基本的な流れ】
- 会計データ・証憑を揃える
- 決算整理を行う
- 決算書を作成する
- 法人税等の申告書を作成する
- 申告内容・税額を最終確認する
- 申告書を提出して納税する
ステップ1:会計データ・証憑を揃える
まず、事業年度中の取引がすべて会計へ反映されているか確認します。
銀行口座、クレジットカード、現金、請求書などを確認し、記帳漏れ・二重計上がない状態にします。
ステップ2:決算整理を行う
決算日時点の正しい数字へ調整します。
代表的な確認事項は次のとおりです。
- 現預金残高と帳簿残高の照合
- 売掛金・買掛金の確認
- 棚卸資産の計上
- 固定資産・減価償却の確認
- 未払費用・前払費用などの計上
- 貸倒れ等の確認
- 役員・関係会社との取引確認
- 消費税区分の確認
ステップ3:貸借対照表・損益計算書などを作成する
決算整理後の数字をもとに決算書を作成します。
この段階では、数字を確定させるだけでなく、前年と比較して不自然な変動がないかも確認しましょう。
- 売上総利益率が大きく変化していないか
- 人件費が急増していないか
- 売掛金が増えすぎていないか
- 在庫が過大になっていないか
- 利益は出ていても現金が減っていないか
ステップ4:法人税等の申告書を作成する
決算書の利益をそのまま法人税率へ掛けるわけではありません。
会計上の利益に、税法上の損金不算入・益金不算入などの調整を加えて「課税所得」を計算します。
あわせて、利用できる税額控除・特例等についても確認します。
ステップ5:申告内容・納税額を最終確認する
提出前には、
- 前年申告との整合性
- 各別表間の整合性
- 地方税申告との整合性
- 消費税申告との整合性
- 税額控除等の適用漏れ
- 納税額
を確認します。
ステップ6:電子申告・納税を行う
法人税などの国税はe-Tax、法人住民税・法人事業税などの地方税はeLTAXを利用して電子申告できます。
提出後は納税まで行い、申告データ・決算書・根拠資料を適切に保存します。
赤字決算でも決算申告は必要|税金がゼロとは限らない
「今年は赤字だから申告しなくても問題ない」と考えるのは誤りです。
法人の場合、赤字決算で法人税額が発生しない場合でも、原則として決算申告を行います。
さらに、赤字でも法人住民税の均等割が課税される場合があります。
東京都内に事務所等がある法人についても、東京都主税局は、赤字決算の場合でも法人都民税の申告・納付が必要で、均等割は決算状況にかかわらず課税されると案内しています。
また、消費税は会社の「利益」に直接課税する税金ではないため、課税事業者であれば赤字でも消費税の納税額が生じる場合があります。
赤字が出たら「欠損金の繰越控除」と「繰戻し還付」を確認
赤字決算になった場合には、税金を減らすための制度として主に、
- 欠損金の繰越控除
- 欠損金の繰戻しによる還付
があります。
欠損金の繰越控除|赤字を将来の黒字と相殺する
青色申告書を提出した事業年度で税務上の欠損金が発生した場合、一定の要件を満たせば、その欠損金を将来の事業年度へ繰り越すことができます。
現在の制度では、原則として10年間繰り越すことができます。
たとえば、
【欠損金の繰越イメージ】
- 今期:500万円の欠損金
- 翌期:300万円の所得
要件を満たせば、今期の欠損金を翌期の所得と相殺できるため、翌期の法人税負担を抑えられる場合があります。
ただし、中小法人等以外の法人については控除限度額など別のルールがあります。
(参考)国税庁 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除
欠損金の繰戻し還付|前期に納めた法人税が戻る場合がある
No.56で解説していた「赤字のときの還付制度」が、欠損金の繰戻しによる還付です。
これは、青色申告法人に欠損金が生じた場合に、一定の要件を満たせば、その欠損金を前1年以内に開始した事業年度の所得へ繰り戻し、前期に納付した法人税の一部について還付を請求できる制度です。
特に、
「前期までは黒字だったが、今期は売上減少や大規模投資などによって赤字になった」
という会社では、資金繰り対策の一つとして確認したい制度です。
繰戻し還付を利用する主な要件
一般的な青色申告法人の欠損金の繰戻し還付では、主に次の要件を確認します。
【主な適用要件】
- 還付対象となる前期から欠損事業年度の前期まで、連続して青色申告書である確定申告書を提出している
- 欠損が生じた事業年度の青色申告書を提出期限までに提出する
- その確定申告書と同時に「欠損金の繰戻しによる還付請求書」を提出する
また、制度には法人規模による制限があります。
中小企業者等については利用できるケースが多い一方、中小企業者等以外の法人については繰戻し還付を原則不適用とする措置があり、令和8年度税制改正でもその適用期限が2年間延長されています。
資本金1億円以下であっても、大法人の100%子法人など対象外となる場合があるため、自社が「中小企業者等」に該当するか確認が必要です。
欠損金の繰戻し還付はいくら戻る?計算例
実際の還付額は、単純に「赤字額×法人税率」で計算するわけではありません。
基本的な考え方は次のとおりです。
【還付額の基本イメージ】
前期の法人税額 × 当期の欠損金額 ÷ 前期の所得金額
※欠損金額は原則として還付所得事業年度の所得金額が限度となるなど、実際の計算には要件があります。
例として、次のケースを考えます。
【シミュレーション】
- 前期の所得金額:700万円
- 前期に納付した法人税額:105万円
- 今期の欠損金額:400万円
105万円 × 400万円 ÷ 700万円 = 60万円
この単純例では、法人税の還付請求額は60万円となります。
前期に納付した法人税額を超えて還付されるわけではありません。
また、地方法人税についても、法人税の繰戻し還付に伴って一定額が併せて還付される制度があります。
実際の税額控除や法人区分などによって計算結果は変わるため、申請前に税理士へ確認しましょう。
繰越控除と繰戻し還付はどちらを使うべき?
赤字が出た場合、必ず繰戻し還付を選べばよいわけではありません。
| 比較 | 欠損金の繰戻し還付 | 欠損金の繰越控除 |
|---|---|---|
| 方向 | 過去へ戻す | 将来へ繰り越す |
| 主な効果 | 過去に納付した法人税の一部を還付 | 将来の所得と欠損金を相殺 |
| 資金繰り | 早期に現金が戻る可能性がある | 将来の税負担を軽減する |
| 主な確認事項 | 前期納税の有無、期限内申告、法人規模等 | 将来の利益見込み、繰越期間、控除限度等 |
「今すぐ資金が必要なのか」「翌期以降の利益が見込まれるのか」などによって判断が変わります。
会社のキャッシュフローまで含めて検討しましょう。
還付請求をすると税務署の確認が行われる場合がある
欠損金の繰戻し還付を請求した場合には、税務署が請求内容や欠損金額などを確認したうえで還付手続きを進めます。
そのため、
- 売上の計上漏れがないか
- 経費が適切か
- 帳簿と申告書が一致しているか
- 欠損金額の計算が正しいか
など、申告内容を説明できる資料を整えておくことが重要です。
「還付請求をすると必ず税務調査が来る」という意味ではありませんが、正確な帳簿・証憑に基づいて申請しましょう。

橋場先生
赤字決算は「税金がなくなるから何もしなくてよい」というものではありません。
期限内に正しく申告することで、欠損金の繰越控除や繰戻し還付など、赤字を今後の税負担・資金繰りへ活かせる可能性があります。
特に前期が黒字で今期が赤字になった会社は、還付できる法人税がないか一度確認してみましょう。
決算前に確認しておきたいチェックリスト
決算申告をスムーズに進めるためには、決算日を迎える前から準備しておくことが重要です。
【決算前チェックリスト】
- 今期の売上・利益見込みを確認したか
- 法人税等の納税見込額を確認したか
- 現預金で納税資金を確保できるか
- 売掛金・未回収債権を確認したか
- 在庫数量を把握できているか
- 固定資産の購入・売却を確認したか
- 使っていない固定資産がないか
- 役員・関係会社との取引を整理したか
- 利用できる税額控除・特例がないか
- 消費税の申告方法・インボイス処理を確認したか
- 赤字の場合、欠損金の繰越・繰戻し還付を検討したか
ARK税理士法人ができる決算・申告サポート
▶関連コラム:【税理士に相談】できることとは?選び方は?相談から解決までの流れも解説
ARK税理士法人では、単純に申告書を作成するだけでなく、現在の会計状況・税負担・資金繰りまで確認しながら決算申告をサポートします。
決算申告のみのスポット対応
「日常の記帳は自社でできているが、法人税申告書を自分で作るのは難しい」という場合には、決算・申告部分のみを税理士へ依頼する方法があります。
ただし、申告期限直前の場合や、帳簿が未完成の場合などは対応に時間が必要となるため、できるだけ早めにご相談ください。
顧問契約による月次管理
毎年決算時にまとめて帳簿を作るのではなく、月次で会計を確定しておけば、決算時の負担を大幅に減らせます。
また、期中から利益・納税額を確認できるため、決算前に節税・設備投資・資金繰りなどを検討しやすくなります。
クラウド会計・経理効率化
銀行口座やクレジットカードとクラウド会計を連携し、経理作業そのものを効率化することも可能です。
決算時に大量の資料を集めて入力する運用から、日頃から会計データが蓄積される仕組みへ移行することで、経営数字も早く確認できるようになります。
赤字決算・還付請求にも対応
赤字の場合にも、欠損金をそのまま申告するだけではなく、
- 欠損金の繰越控除
- 欠損金の繰戻し還付
- 中間納付額等の還付
など、利用できる制度がないか確認します。

橋場先生
決算申告で重要なのは、期限に間に合わせることだけではありません。
今期の数字を正しく確定し、納税額を把握し、その結果を来期の経営へどう活かすかまで考えることで、決算の価値は大きく変わります。
「決算が迫っている」「赤字になった」「今の税理士から提案がない」といった段階でも、まずは現在の状況をお聞かせください。
決算申告に関するよくある質問(FAQ)
Q:法人の決算申告期限はいつですか?
A:法人税の確定申告は原則として、事業年度終了日の翌日から2か月以内です。
3月31日決算であれば原則5月31日です。期限が土日・祝日等の場合は原則その翌日となります。
Q:赤字でも法人の決算申告は必要ですか?
A:はい。赤字でも原則として申告が必要です。
また、法人住民税の均等割など、赤字でも納税が必要となる税金があります。
青色申告法人の場合には、欠損金の繰越控除や繰戻し還付を利用できる可能性もあるため、期限内に正しく申告することが重要です。
Q:申告期限に1日遅れただけで青色申告は取り消されますか?
A:1回の期限後申告だけで自動的に取り消されるという取扱いではありません。
国税庁の事務運営指針では、原則として2事業年度連続して期限内申告がない場合に取消しを行う基準が示されています。
ただし、期限後申告には無申告加算税など別のリスクがありますので、期限は必ず守りましょう。
Q:赤字になれば前期の法人税は必ず返ってきますか?
A:いいえ。一定の要件を満たす場合に「欠損金の繰戻しによる還付」を請求できます。
青色申告、期限内申告、前期に法人税を納付していることなどを確認する必要があります。
Q:繰戻し還付と繰越控除はどちらがお得ですか?
A:会社の資金繰りや将来の利益予測によって異なります。
今すぐ資金を確保したい場合には繰戻し還付が有効なケースがあります。一方、今後大きな利益が予想される場合には欠損金を将来へ繰り越すことも検討します。
Q:税理士に依頼すると税務調査が来なくなりますか?
A:税理士へ依頼しただけで税務調査が行われなくなるわけではありません。
一方で、日頃から税務処理を確認し、申告書や根拠資料を整備しておけば、税務調査を受けた場合にも処理内容を説明しやすくなります。
書面添付制度を利用する場合にも、税務調査が必ず行われなくなる制度ではないことを理解しておきましょう。
▶関連コラム:税務調査が来なくなる!?書面添付制度について税理士が徹底解説!
Q:申告期限まで数日しかありません。今から税理士へ依頼できますか?
A:対応可能かは資料の整理状況や申告内容によって異なるため、まず早急に相談してください。
数日で必ず完了できるとは限りませんが、放置して無申告になる前に、どこまで対応可能か確認することが重要です。
Q:顧問契約をせず、決算申告だけ依頼できますか?
A:ARK税理士法人では、状況に応じて決算申告のみのご相談も承っています。
普段の経理を自社で行っているものの、法人税申告だけは専門家へ依頼したいという場合もご相談ください。
まとめ|決算申告は期限・必要書類・赤字時の制度まで確認しよう
▶関連コラム:ココが違う!ARK税理士事務所と一般的な税理士事務所│5つの強み、サポートの実例を紹介
法人の決算申告では、1年間の数字を確定して決算書を作成し、法人税などを計算して期限までに申告・納税します。
【この記事の重要ポイント】
- 法人税の申告期限は原則として事業年度終了日の翌日から2か月以内
- 申告期限が土日・祝日等なら原則翌日へ
- 申告だけでなく納税期限も確認する
- 期限後申告では無申告加算税・延滞税等が発生する可能性がある
- 1回の期限後申告だけで青色申告が自動的に取り消されるわけではない
- 決算申告には決算書・法人税申告書・内訳書等を作成する
- 申告書の数字を裏付ける請求書・領収書・契約書等も適切に保存する
- 赤字でも決算申告が必要
- 赤字でも法人住民税の均等割や消費税等が発生する場合がある
- 青色申告法人では欠損金を原則10年間繰り越せる場合がある
- 前期黒字・今期赤字の場合には欠損金の繰戻し還付を利用できる可能性がある
決算申告は、「税務署へ提出するためだけの作業」ではありません。
会社の1年間の結果を正確に確認し、税負担・資金繰り・来期の経営方針を考える重要なタイミングです。
特に、
「決算期限が迫っている」
「必要書類が揃っているかわからない」
「赤字になったので、前期の法人税を還付できないか確認したい」
「申告期限を過ぎてしまった」
「決算書は作れるが法人税申告書が作れない」
といったお悩みをお持ちの方は、ARK税理士法人までお気軽にご相談ください。
決算書・法人税申告書の作成だけでなく、期限後申告への対応、欠損金の繰越・繰戻し還付、納税予測、来期の資金繰りまで含めてサポートいたします。
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