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役員賞与が損金になる!?事前確定届出給与を徹底解説

通常、役員の賞与は損金に算入できませんが、「事前確定届出給与」を利用すれば、全額が損金として認められることをご存知でしょうか。

また、事前確定届出給与の利用で社会保険料の金額を減らすこともでき、役員と会社、双方とも負担を減らすことが可能です。
役員の満足度向上と会社の節税対策を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

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役員賞与とは?事前確定届出給与とは?

そもそも、役員賞与や事前確定届出給与とは、どういった制度なのでしょうか。

役員賞与とは、会社から役員に毎月支給する給与とは別に支給する一時金を指します。
ただし、役員賞与は原則として法人税を計算する上で損金に算入できない特徴があります。

事前確定届出給与とは、役員に対して支払う賞与の金額、および時期をあらかじめ定め、事前に税務署に届け出ることで、役員賞与を損金として算入できる制度です。

役員賞与・事前確定届出給与のメリット

役員賞与・事前確定届出給与のメリット

役員賞与を事前確定届出給与を利用して支給する場合、次の2つのメリットがあります。

役員は社会保険料の負担を減らせる

1つ目は、社会保険料の負担を減らせることです。

実は、賞与に対する社会保険料には上限が定められています(健康保険料:年間573万円、厚生年金保険料:1か月あたり150万円)。
上限以上の金額を受け取れば、上限を超えた賞与には社会保険料がかかりません。

(参考)全国健康保険協会 賞与の範囲

会社は役員賞与を損金に算入できる

2つ目は、役員賞与を全額損金として算入できることです。

適切に手続き、支給することで損金に算入し、課税対象額を圧縮することで法人税を節約できます。

(参考)国税庁 役員に対する給与

役員賞与・事前確定届出給与のデメリット

役員賞与・事前確定届出給与のデメリット

一方で、役員賞与を事前確定届出給与を利用して支給する場合、次の3つのデメリットがあります。

所得税・住民税が高くなる

1つ目は、所得税・住民税が高くなることです。

給与として支給した場合と、賞与として支給した場合、どちらも所得額が同等であっても、賞与として支給した場合は社会保険料控除の金額が少なくなることから、所得税や住民税が高くなります。

ただし、所得税・住民税が高くなることより社会保険料が軽減される金額の方が多く、メリットを大きく感じられるでしょう。

株主総会の開催など手続きが煩雑になる

2つ目は、税務署に提出する事前確定届出給与の手続きが煩雑になることです。

税務署で定められた様式のほか、株主総会の議事録など関係する書類も必要になります。
このように書類作成や提出の手間がかかる点には留意が必要です。

役員賞与の途中変更は原則できない

3つ目は、役員賞与の途中変更は原則できないことです。

役員賞与は、役員の地位の変更や業績の悪化など、特別な理由がなければ原則変更はできません。
年度の途中で事業の状況が変わり減額を試みても、税務署から承認が下りない可能性にも注意しましょう。

橋場先生

役員と会社、双方にメリットのある事前確定届出給与ですが、このようにデメリットもあります。

利用するべきか判断するためには、詳しくお話を伺う必要がありますので、本制度の利用など税務や社会保険料のお悩みを抱えている方は、ARK税理士法人まで、お気軽にご相談ください。

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役員賞与・事前確定届出給与でどれくらいお得に?

実際に、事前確定届出給与を利用して役員賞与を受ける場合、どの程度お得になるのか、気になるところです。

通常の役員報酬として支給する場合と役員賞与として支給する場合、それぞれの金額を確認しましょう。

●役員報酬の場合

  • 月々100万円の給与を12か月支給
  • 社会保険料・厚生年金保険料:月々約14万円 ≒ 年間168万円

 

●役員賞与の場合

  • 1,200万円の賞与を1度支給
  • 社会保険料・厚生年金保険料:年間約42万円

 

役員報酬 168万円 – 役員賞与 42万円 = 126万円

このように、役員賞与と事前確定届出給与を活用することで、社会保険料・厚生年金保険料の金額を大幅に節約できることが分かります。

知っておきたい!役員賞与に関するルール

知っておきたい!役員賞与に関するルール

記事の終わりに、役員賞与および事前確定届出給与について、知っておきたいルールがありますので紹介します。

申請どおりの日付・金額でなければいけない

1つ目は、事前確定届出給与の届出に記載したとおりの日付・金額で賞与を支払う必要があることです。

届出とは異なる日付、または金額で賞与を支払った場合、役員賞与を損金として算入できませんので注意が必要です。

(参考)国税庁 事前確定届出給与の意義

事業年度開始4か月以内に申請する

2つ目は、事前確定届出給与の申請を、事業年度開始から4か月以内に決めることです。

  • 1期目:法人設立日から2か月以内
  • 2期目以降:株主総会から1か月以内(株主総会は決算から3か月以内、足すと4か月)

期限を超えて申請をした場合、承認を受けられず役員賞与は損金として算入できません。

(参考)国税庁 役員に対する給与

橋場先生

事前確定届出給与の利用はメリットが大きいものの、報酬金額の算定や提出の時期など考えるべきことが多い制度です。

本業と並行して検討することが難しい場合は、ARK税理士法人まで、お気軽にご相談ください。

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まとめ:事前確定届出給与を上手に活用しよう

役員賞与を全額損金として算入できる、事前確定届出給与について解説しました。

事前確定届出給与を活用することで、役員は社会保険料の節約につながり、会社は損金に算入できますので、役員と会社どちらにとっても効果的な制度です。

一方で、申請の期限が定められ、年度途中の変更が原則できないなど注意するべき点もありますので、利用を検討している方は税理士に相談することをおすすめします。

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執筆者

ARK税理士法人代表税理士

橋場 和弥

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