【税理士直伝】法人の節税対策まとめ│法人税を賢く抑える11の方法を徹底解説

「今期は過去最高の利益が出たはずなのに、なぜか手元にお金が残っていない」
「税理士から納税額を聞いて驚いた。節税対策で税金を抑えたいが、よい案が思いつかない」
決算期が近づくと、こうした悩みを抱える経営者の方は少なくありません。
本業で利益を出しても、多額の法人税によって資金繰りが苦しくなることは避けたいものです。
そこで本記事では、会社にお金を残すための具体的な11の節税手法を解説します。
決算直前でも間に合う即効性のある対策から、社員のモチベーションを高める福利厚生型の対策、2026年の税制トレンドまでご紹介しますので、税金への悩みを抱えている方はぜひ参考にしてください。
目次
法人税の基本と「賢い節税」の前提条件
法人の節税対策を検討する前に、まずは「何に対して税金を支払っているのか」という根本的な税の仕組みを理解しましょう。
法人税の仕組み
- 法人が事業活動によって得た「利益」に対し課される税金
- 個人の所得税が累進課税である一方、法人税は原則として比例税率(一定の税率)
- 法人税、法人住民税、法人事業税などを合わせた実質的な負担率は約30~34%
- 事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内が申告および納付期限
こうした法人税の仕組みを踏まえると、節税対策には大きく分けて2つの方向性があります。
違いを理解しないと、「税金は払ったが、会社に現金が残らない」といった事態に陥ります。
お金が消える節税(キャッシュアウトを伴う対策)
経費(損金)を増やすことで利益を圧縮する。
税金は減りますが、それ以上に現金を外部に支払うため、手元の現金は減少します。
お金が消える節税の例
- 設備投資
- 備品の購入
- 不要な保険への加入 など
お金が残る節税(キャッシュアウトを伴わない対策)
手元の現金を減らすことなく帳簿上の利益を圧縮、または直接的に税額を減らせる節税です。
お金が残る節税の例
- 未払費用の適切な計上
- 不良在庫の除却損の計上
- 各種税控除の活用 など
節税対策を実施したあとに「手元に現金がない!」という事態を避けるには、節税対策にこうした2つの種類があることを把握することが重要です。
過度な節税に注意(資金繰り悪化・銀行格付け低下のリスク)
専門家の視点で注意しておきたいポイントは、「過度な節税によるリスク」です。
税金を減らす目的で無理に経費を使い、赤字スレスレの決算書を作ってしまうケースもあります。
しかし、利益の出ていない決算書は金融機関からの評価が下がり、銀行の格付けが低下してしまうリスクが生じます。
将来新規事業の立ち上げや危機的な状況で融資を受けようとした際「この会社は利益を上げていない」と判断され、資金調達の道が狭まる可能性があります。

橋場先生
「今期、結局いくらの税金が発生するのか見えない」
「自社に合った節税対策がどれかわからない」
このような不安をお持ちの経営者の方へ、ARK税理士法人では、現在の試算表や決算状況に基づいた節税の診断と提案を実施しています。
決算月を迎える前に、まずは現状の正確な把握から始めてみましょう。
【即効性あり】決算前でも間に合う具体的な節税対策
「もうすぐ決算月が終わってしまう」というタイミングでも、節税対策は実行可能です。
そこで、即効性が高く多くの法人で導入されている5つの方法を具体的に解説します。
(1)役員報酬の最適化と損金算入
法人の節税において、最も基本的で効果が高いのは役員報酬の最適化です。
役員報酬は「定期同額給与」などのルールを守ることで、全額を会社の経費(損金)に算入できます。
ただし、役員報酬を高くしすぎると、個人の所得税や住民税、社会保険料の負担が高くなることから、法人と個人の「トータルコスト」が最も低くなる着地点をシミュレーションすることが大切です。
▶関連コラム:役員報酬と役員賞与のベストな比率とは?3つの視点、具体的な比率イメージを解説
(2)経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)の活用
経営セーフティ共済は取引先の倒産に備えるための共済制度ですが、法人の節税対策としても利用できます。
掛金は月額5,000円から20万円まで自由に設定でき、年間240万円(上限800万円まで)を全額損金として計上可能です。
ただし、解約して戻ってきた返戻金は益金(会社の利益)として課税対象になるため、退職金の支給や大規模な設備投資など、赤字(損金)が発生するタイミングに合わせて解約する「出口戦略」が不可欠です。
▶関連コラム:【倒産防止共済】4つのメリットとは?利用前に確認しておきたいデメリットや注意点も解説
(3)未払費用の計上による利益圧縮
決算日までにサービスや商品の提供を受けているものの、支払いが完了していない経費を「未払費用」として計上し利益を圧縮することも可能です。
- 従業員の給与(締め日から決算日までの日割り計算分)
- 社会保険料(決算月の末日時点での会社負担分)
- 水道光熱費や通信費など
こうした費用は計上漏れも多いですので、決算整理の段階で改めて洗い出しましょう。
(4)30万円未満の少額減価償却資産の特例
通常、パソコンやオフィス家具など、10万円以上の資産を購入した場合は、償却年数に応じて少しずつ経費化(減価償却)する必要があります。
しかし、青色申告をしている中小企業であれば、「少額減価償却資産の特例」を利用できます。
この特例を利用すれば、取得価額が30万円未満の資産であれば、年間合計300万円までは、購入した事業年度に一括して経費(損金)として落とすことが可能です。
(5)不良在庫・固定資産の処分
倉庫に販売見込みのない「不良在庫」や使わなくなった機械設備などの「固定資産」がある場合、決算期末までに廃棄処分することで、帳簿価額(除却損)として経費に計上可能です。
無駄な管理コストや保管スペースを削減できるだけでなく帳簿上の利益を圧縮でき、キャッシュフローの改善につながります。
【福利厚生・仕組み】会社と社員を強くする節税
節税対策は、単に手元の資金を減らさないことだけが目的ではありません。
従業員の満足度を高め、離職率を低下させることも合わせて考えることが重要です。
どちらも満たす方法として、福利厚生の利用を考えてみましょう。
(6)社宅制度の導入による節税効果
役員や従業員が住む賃貸物件を会社名義で契約し「借り上げ社宅」とする方法は、効率的な節税対策になります。
- 従業員:税金や社会保険料の負担なく実質的な手取り額が増える
- 会社側:家賃と徴収した社宅家賃の差額を会社の地代家賃として計上できる
このように、従業員と会社側、どちらにもメリットの大きな制度といえます。
▶関連コラム:社宅制度は実は節税対策?従業員と経営者それぞれのメリット解説
(7)出張旅費規程の整備と旅費日当の支給
営業活動などで出張が多い法人は「出張旅費規程」を作成することをおすすめします。
規定に基づいて支給される「日当(出張中の食事代や雑費などの慰労金)」は、会社側は全額経費として計上でき、また消費税の仕入税額控除の対象にもなります。
▶関連コラム:【意外と知らない】最大40%の法人税節税!?使わないと損な出張旅費日当とは
(8)決算賞与の支給
利益が想定以上に出た場合は、従業員への還元として「決算賞与」を支給することもひとつの手段です。
決算日時点で支払いが済んでいなくても、当期の経費(未払金)として計上できます。
【決算賞与を未払いで経費にするための3要件】
- 決算日の終了までに、支給額を各従業員に通知していること
- 決算日後、1ヶ月以内に実際に全額を支払うこと
- 当期の決算において損金経理(未払計上)していること
従業員の士気を劇的に高めつつ、法人税を圧縮できるため「生きたお金の使い道」と言えます。

橋場先生
社内規定や出張旅費規程はインターネットの雛形を利用すると、税務調査の際に否認されるリスクが潜んでいます。
ARK税理士法人では、税務署のチェックにも耐えうる「規定の作成や整備サポート」も実施していますので、お気軽にご相談ください。
【ARK独自提案】2026年の経営者が注目すべき「新・節税戦略」
▶関連コラム:ココが違う!ARK税理士事務所と一般的な税理士事務所│5つの強み、サポートの実例を紹介
税法は毎年改正されています。
このため常識にとらわれず、最新の税制や優遇措置を取り入れることが重要です。
具体的に、次のような対策を講じましょう。
(9)賃上げ促進税制と設備投資減税の活用
政府が推進している「賃上げ促進税制」は、前年度より給与等の支給額を一定割合以上増加させた場合、増加額の最大45%を法人税から直接差し引く(税額控除)ことも可能です。
また、「中小企業経営強化税制」などを活用した設備投資減税も重要です。
▶関連コラム:【中小企業必見】実際に従業員の給料を月10万円上げるとどうなる?賃上げ促進税制について
(10)環境投資(グリーン投資)による税制優遇
近年注目を集めているのは、カーボンニュートラルに向けた環境投資への税制優遇です。
- LED照明
- 高効率な空調
- 太陽光発電システム など
こうした省エネ性能の高い設備に対して投資することで、特別償却や税額控除を受けられる制度が拡充されています。
税制の優遇に加えて、企業の社会的責任(CSR)を果たすというブランドイメージ向上にも直結する要素です。
(参考)経済産業省 カーボンニュートラルに向けた投資促進税制
(11)最新デジタルツールを活用したリアルタイム節税管理
決算間近になってから「いくら利益が出ているか」確認する体制では効果的な減税策は打てません。
そこで、freeeやマネーフォワードなど、クラウド会計ソフトの利用によるリアルタイムでの節税シミュレーションもおすすめです。
日々の取引データを自動連携し、リアルタイムで月次決算を組み上げることで、「決算時の着地見込み」を正確に把握します。
結果として、時間的余裕を持って最適な節税対策を立案・実行することが可能になります。
失敗しないための注意点:グレーゾーンの節税は避けるべき
ここまで様々な節税手法をご紹介してきましたが、絶対に忘れてはならないのは法令遵守(コンプライアンス)の意識です。
目先の利益にとらわれてグレーゾーンの節税をしてしまうと、取り返しのつかない事態を招く可能性があります。
どういった点に気をつけるべきなのか、失敗を避けるための注意点をご紹介します。
税務調査で狙われるポイント
まず、税務調査官は不自然な経費の動きをすぐに見抜きます。
特に次のような点について厳しくチェックされますので注意しましょう。
- 私的流用: 経営者個人の生活費や家族の旅費を紛れ込ませる行為は、節税ではなく「脱税」とみなされます。
- 実体のない経費計上: 架空の外注費計上や業務実態のない親族への役員報酬は、重加算税などの厳しい処罰の対象です。
- 期末の駆け込み経費: 決算直前の突出した支出は、税務調査で領収書等のエビデンスと業務関連性を厳しく問われます。
▶関連コラム:税務調査が不安な方へ│対象になる条件や経費の内容、今からできる対策も解説
「節税貧乏」にならないために
法人税の基本の項目でも触れましたが、節税の本来の目的は会社のキャッシュを最大化することです。
「税金を払うくらいなら、何でもいいから経費で使ってしまおう」という意識は危険です。
たとえば高級車をローンで購入すれば、減価償却費で税金が減ることは確かですが、毎月のローン返済によって資金繰りは確実に悪化します。
「その支出は、自社の売上向上や業務の効率化に本当に寄与するのか」という、基本的な投資判断の基準を持つことが節税貧乏を回避する方法です。
専門家(税理士)による監修の重要性
インターネット上には裏技と言われるような節税手法があふれていますが、自社の状況に適用できるかは別問題です。
また、税法は毎年複雑に変化しています。
法令を遵守し、税務調査のリスクを抑えながら最大限のキャッシュを残す、こうしたバランスを実現するためには最新の税制に精通した税理士による継続的な監修が不可欠です。
▶関連コラム:【税務顧問とは?】中⼩企業経営者が知っておきたい活⽤法を徹底解説
まとめ:あなたの会社の「次のステージ」へ、伴走します
法人の経営者が知っておくべき、お金を残し、会社を強くする節税対策について、主に次のようなポイントを解説しました。
- 節税は「過去の整理」ではなく、未来のキャッシュを最大化するための「投資」である。
- 現金を失う節税と、現金が残る節税を見極め、資金繰りを最優先に考える。
- 役員報酬の最適化、社宅制度などの仕組み化、最新の税制優遇(賃上げ税制など)を組み合わせることで、強固な財務体質を作る。
- グレーゾーンの対策は避け、常に税務調査に耐えうる根拠(エビデンス)を残す。
節税の成功は、決算直前の「点」の対策ではなく、期中からの「線」の管理にかかっています。
まずは自社の試算表を眺め、今回ご紹介した11の手法のうち、どれが自社のフェーズに合致するかを検討してみてください。
無理な経費計上で銀行評価を下げるのではなく、制度を正しく活用して内部留保を厚くすることこそが、真の「強い会社」への近道です。
どの節税策が最も効果的かは、企業の決算状況や今後の投資計画によって異なります。
ARK税理士法人では、現在の財務状況に基づいた「個別の節税シミュレーション」を行っております。
「自社に合った具体的な対策を整理したい」「最新の税制優遇を漏れなく活用できているか確認したい」という方は、現在の状況を整理する機会として一度お気軽にご相談ください。
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