【落ちない経費】NG経費があるって本当?今期の経費にできるケースとともにご紹介

「支払いをしたのに、経費として認められなかった」
確定申告や決算のタイミングで、多くの経営者が一度は直面する場面です。
実は、経費には「認められるもの」と「認められないもの」があり、判断やタイミングを誤ると、節税どころか追徴課税を受けることも。
本記事では、よくあるNG経費の例と、逆に今期の経費にできるケース、正しく経費を活用するためのポイントもわかりやすく解説します。
目次
そもそも「経費で落ちない」とは?
経費とは、事業を行うために直接必要となった支出のことを指します。
売上を得るために支出した費用であれば、原則として経費に計上できます。
たとえば、仕入れ代金や広告宣伝費、交通費や人件費といった支出が代表的です。
一方で「経費で落ちない」とは、支出がすべて自動的に経費として認められるわけではない、ということを意味します。
税法上は「事業との関連性」「支出のタイミング」「金額の扱い方」など細かいルールがあり、これを外れると経費にできません。
もし誤って計上すれば、税務調査で否認され追加課税につながるリスクもあるため、注意が必要です。
▶関連コラム:税務調査が不安な方へ│対象になる条件や経費の内容、今からできる対策も解説
「落ちない経費」よくあるNG例3選
「経費になると思っていたのに、実は落ちない」
こうしたケースは少なくありません。
間違えやすいNG例を3つ取り上げ、理由と注意点を解説します。
- 前払いしても来期のサービスならNG
- 車など高額資産は一括で経費にならない
- 個人利用が混ざる支出は経費にできない
前払いしても来期のサービスならNG
経費は「支払った時期」ではなく「サービスを受けた時期」で判断されます。
そのため、決算前に慌てて来期分を前払いしても今期の経費にはできません。代表的な例は以下のとおりです。
- 来期に搭乗する飛行機チケット代
- 来期に掲載される広告費
- 来期から利用開始するソフトウェアの使用料
いずれも「サービス提供が来期」となるため、前払いしても今期の経費にはできない点に注意しましょう。
ただし、以下のコラムのとおり、一定の条件を満たせば翌年分の経費を当年度として計上する方法はあります。
▶関連コラム:【今期売上が上がった方へ】来年の支払いを経費にして節税できる!制度と注意点を解説
車など高額資産は一括で経費にならない
10万円以上の資産を購入した場合、税法では「減価償却」というルールが適用されます。
これは購入費用を一括で経費にできず、耐用年数に応じて少しずつ経費化していく仕組みです。
例えば600万円の車を6年で償却する場合、1年目に全額を経費にすることはできません。
さらに月割り計算が必要になるため、決算直前に高額な物を購入しても想定していたほどの節税効果を得られない点に注意が必要です。
ただし、車両費についても、特定の条件下で一括して経費に計上する方法はありますので、以下のコラムをあわせてご確認ください。
▶関連コラム:【経営者必見】車両費全額を1年で経費計上する方法│減価償却についても分かりやすく解説
個人利用が混ざる支出は経費にできない
経費として認められる条件のひとつは「事業に直接必要であること」です。
そのため、自宅家賃や光熱費、通信費など、事業と私生活が混ざる支出は全額を経費にはできません。
事務所兼自宅の場合は、業務で使用する割合を明確に算出して按分処理する必要があります。
もし全額を経費にしてしまうと、税務調査で否認されるリスクが高まり、余計な追徴課税を招きかねません。
日常的に事業利用の割合を記録しておくことが安心につながります。

橋場先生
経費の扱いを誤ると、思わぬ税負担や修正対応に追われるリスクがあります。
正しく経費を活用するには、専門的な知識の理解が欠かせません。
経費の活用について不安や疑問を感じたら、ARK税理士法人へお気軽にご相談ください。
意外と知らない!今期のうちに経費にできる“裏技”3選
「落ちない経費」がある一方で、今期のうちに支払うことで経費に計上できるケースも存在します。
ここでは代表的な2つの方法を紹介します。
- 倒産防止共済の前払い
- 社宅制度や出張旅費日当の活用
倒産防止共済の前払い
中小企業倒産防止共済は、取引先倒産による資金繰り悪化に備える制度ですが、節税対策としても利用できます。
掛金は全額を経費として処理でき、さらに年払いを選択すれば翌期分もまとめて経費に計上可能です。
たとえば、3月に翌年度分の掛金を支払えば、翌期分であっても今期の経費に含められます。
倒産防止共済は慎重に利用するべき制度のひとつですが、資金繰りの安定化と節税を同時に実現できる点が大きな魅力です。
▶関連コラム:【倒産防止共済】4つのメリットとは?利用前に確認しておきたいデメリットや注意点も解説
社宅制度や出張旅費日当の活用
経営者や従業員が利用できる制度として、社宅や出張旅費日当があります。
社宅制度では法人が賃貸契約を結び、役員や従業員に貸与することで、家賃の大部分を経費に計上可能です。
一方で利用者は低負担で住めるため双方にメリットがあります。
また、宿泊を伴う出張に設定できる旅費日当は、受け取った側に所得税がかからないため、経費として処理しながら手取りを増やす効果も期待できます。
▶関連コラム:社宅制度は実は節税対策?従業員と経営者それぞれのメリット解説
▶関連コラム:【意外と知らない】最大40%の法人税節税!?使わないと損な出張旅費日当とは

橋場先生
こうした経費計上もルールを正しく理解し、適切な処理を行わなければ思わぬ否認リスクにつながります。
経費の判断に迷ったり、最適な節税方法を知りたい場合は、専門家へ相談することが一番の近道です。
ARK税理士法人では、中小企業や個人事業主の経費処理や節税対策を分かりやすくサポートしていますので、ぜひお気軽にご相談ください。
抑えておきたい!正しく経費を活用するためのポイント
経費を正しく処理するには、いくつかの基本を押さえておくことが大切です。
記事の終わりに、特に重要な3つのポイントを紹介します。
- 証拠書類、規定を整備する
- 節税とキャッシュフローのバランスを意識する
- 専門家に相談する重要性を把握する
経費が認められためには、証拠書類の確保や社内規定の整備が重要です。
領収書や契約書を揃えることはもちろん、出張旅費規程や社宅規程といったルールを整えておけば、税務調査でも安心です。
また、節税だけを優先して支払いを前倒ししても、手元資金が減れば経営に悪影響を及ぼしますので、節税効果とキャッシュフローのバランスを意識することが大切です。
さらに、税法は複雑で改正も多いため、自己判断ではリスクが残ります。
税理士などの専門家に相談することで、正しい処理と効果的な節税を両立させることができます。
▶関連コラム:税理士 橋場とは何者?高卒、建設業(現場作業員)から税理士法人代表となった異色の経歴をご紹介
まとめ
経費は事業を続けるうえで欠かせない要素ですが、「支払ったのに経費で落ちない」というケースは少なくありません。
一方で、共済の年払い、社宅や出張旅費日当といった制度は正しく活用すれば今期の経費に計上でき、節税効果を高めることも可能です。
大切なことは、ルールを理解し、証拠書類を揃え、資金繰りとのバランスを意識することです。
そして判断に迷う部分は、専門家に相談して早めに解決することです。
経費を正しく扱うことは、節税だけでなく経営の安定にも直結します。
不安を感じたら、ぜひ税務のプロであるARK税理士法人にご相談ください。