法人税を節税する際の注意点
「法人税にはどのような種類があるのだろう」「法人税の算出方法は複数方法あると聞いたが、どのような方法があるのか」「来年度から法人成りする予定なので、個人事業主の時との税務面での違いについて知りたい」。
法人税に関連するご相談は多岐にわたります。
ここでは法人税とはそもそも何か、そしてその節税対策として具体的にどのような手段があるかを注意点と合わせてみていきましょう。
法人税とは
まず法人税とは何かを確認しておきましょう。
そもそも「法人」とは何でしょうか。
法人とは、法律によって人と同じ権利や義務を認められた組織のことを指します。
大まかに公法人、私法人、営利法人、非営利法人に分けられます。
法人税は、法人の所得金額に税率をかけて税額控除額を差し引かれたことで算出された、法人が納めるべき税金です。
法人税の納税方法
法人税の納税方法は2種類存在します。
①予定申告
1つめは予定申告です。前年度に納税した法人税のおおよそ半分を中間納付額とします。申告納税が簡易的に行えるメリットがあります。
②仮決算
2つめは仮決算に基づく中間納付です。こちらは事業年度開始から6か月経過した時点で仮決算を行い、課税所得を算出し、その金額に法人税率を掛けて中間納付額を確定します。
時間と労力が多く割かれるというデメリットがあります。
法人税を節税する方法
ここで法人税を節税する方法を5つみていきましょう。
①役員報酬
一般管理費で処理される役員報酬や退職金は、一定の要件を満たせば損金算入できます。
損金算入が認められれば課税所得が減り、法人税の負担軽減につながります。
②社員旅行の実施
社員旅行は必要条件を満たせば福利厚生費として計上できます。
税務上の適用条件は以下の通りです。
・旅行期間が4泊5日以内
・参加する従業員数が全体の50%以上
・社員全体を対象としていること
・参加しない人にお土産等を渡さないこと
・旅行費用が社会通念上必要と認められる範囲であること
単に損金算入できるだけでなく、社員のモチベーションアップにもつながるメリットがあります。
③交際費の計上
交際費は「損金」として処理ができます。
税務調査に備え、年月日や参加した者の人数、利用場所、費用の金額などを記した証憑類は保管しておくようにしておきましょう。
ただし全ての金額を損金算入できるわけではなく、法人の規模に応じて上限が定められているので注意が必要です。
④未払費用の計上
未払費用は一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、既に提供された役務に対して、いまだ対価の支払が終わらないものです。
例えば保険料、従業員給与、賃借料、などがあります。
借方に費用科目を計上することで利益を減らし、課税所得を少なくすることができます。
⑤在庫の処分
不要な在庫は、値引販売か廃棄をしましょう。
在庫は保有しているだけで棚卸資産として税金がかかります。
値引販売すれば、その分評価額を減額でき課税金額を減らすことができます。
また、廃棄する場合、廃棄損として損金に計上できます。
節税対策時に気を付けること
節税対策時には以下のことに注意する必要があります。
①キャッシュの過度な流出
節税対策を意識しすぎると、必要以上にキャッシュアウトする恐れがあります。
PLばかりを意識してしまうとキャッシュが枯渇し、本業に投資することができなくなる危険性もあります。
企業状況や経営状態に合わせて、無理なく実践することが肝要です。
②PL悪化による信用低下
利益を減らすことは、節税においては有効です。
しかし当然利益が少なければ、経営状態がよくないと判断されるリスクがあります。
そうなると金融機関から融資を受けにくくなったり、取引先から依頼される仕事が減ったりすることです。
目先のPLだけを見るのではなく、会社の置かれている状況とのバランスを考えながら総合的に判断しましょう。
このように、法人税の節税対策を実施するには、多くの注意点が存在します。
事業のオペレーションを回すことで手一杯であり、法人税の申告業務、更にはその節税対策の検討まで手が回らないという状態に陥ることも往々にしてあるでしょう。
正確な法人税の納税、そしてその節税対策を行うために、会計税務の専門家である税理士に相談するという選択肢を検討してみるのはいかがでしょうか。
ARK税理士事務所では、税務・会計を通じて皆様の成長をサポートさせていただいております。今後の事業の方向性や事業主様の目的、ご意向などお伺いし、お客様の将来を見据えた最適なオーダーメイド対策をご提案させていただきますので、法人税の節税対策をご検討の皆様はお気軽にご相談ください。