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役員報酬を経費にして節税&保険料削減!『事前確定届出給与』の仕組みとシミュレーションを解説

法人経営をする中で「役員報酬は経費になるのか?」という疑問に直面することがあります。

結論からお伝えすると、役員報酬は一定の条件を満たせば損金算入でき、法人税の節税につながります。
また、社会保険料や厚生年金の負担も軽減することが可能です。

こうした対策を取る際に重要なのは「事前確定届出給与」という制度の利用です。

あらかじめ決めた金額と支給日を届け出ることで役員報酬の一部をボーナスとして経費にでき、また保険料負担の軽減といった効果も期待できます。

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『事前確定届出給与』を活用、節税と保険料軽減の理由を解説

『事前確定届出給与』を活用、節税と保険料軽減の理由を解説

役員報酬を経費に計上しつつ、社会保険料や厚生年金の負担を抑える方法として注目されるのが「事前確定届出給与」です。

はじめに、仕組みと節税効果について解説します。

事前確定届出給与、制度の概要

事前確定届出給与とは、法人が役員に対してボーナスを支給する際に、あらかじめ「支給する金額」と「支給日」を税務署に届け出る制度です。

この届出を行うことで、役員への賞与が法人の経費(損金)として認められるようになります。

通常の役員賞与は経費にならず法人税が増える原因となりますが、事前確定届出給与を利用すれば、条件を満たした支給分は経費算入が可能となり結果として法人税の軽減につながります。

▶関連コラム:役員賞与が損金になる!?事前確定届出給与を徹底解説

節税、保険料負担の軽減につながる理由

節税効果の理由は大きく二つあります。

第一に、通常の役員賞与は経費にならないことに対して、事前確定届出給与は損金算入できるため法人税が抑えられます

第二に、社会保険や厚生年金は「標準報酬月額」に基づいて計算される一方で、「事前確定届出給与」の金額には上限値が定められています。

つまり月々の役員報酬を最低限に抑え、残りを事前確定届出給与として一括支給することで、社会保険料の負担を大幅に軽減できるのです。

事前確定届出給与を利用するシミュレーション

実際に事前確定届出給与を利用した場合、どの程度の節約につながるのでしょうか。

特に負担感の大きな、社会保険料と厚生年金保険料についてシミュレーションをします。

【事前確定届出給与に関するシミュレーション】

 

ケース①:月額100万円を12ヶ月支給

  • 社会保険+厚生年金の負担:約14万円/月
  • 年間負担額:約168万円

 

ケース②:事前確定届出給与で年間1200万円を一括支給

  • 社会保険+厚生年金の負担:約423,750円(上限適用)
  • 年間負担額:約42万円

 

ケース① 約168万円 – ケース② 約42万円 = 約126万円の差

両者を比べると、約126万円の差が生まれます。

支給額は経費として損金算入もできますので、法人税の節税効果も期待できます。

橋場先生

事前確定届出給与は、適切に利用しなければ逆効果になることもあります。

ご自身の状況において利用するべきか迷ったときは、ARK税理士法人にお気軽にご相談ください。
専門家の目線で最適な節税プランを提案いたします。

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『事前確定届出給与』活用時の注意点

『事前確定届出給与』活用時の注意点

便利な制度である一方、届出や社会保険の取り扱いには注意点があります。

誤ると経費にできなかったり将来の保障が減る可能性もあるため、正しく理解して活用することが大切です。

届出期限を過ぎると損金算入ができない

事前確定届出給与は、期限内に税務署へ届け出を行う必要があります。

設立1期目の法人は設立から2か月以内、それ以降は株主総会から1か月以内が原則です。
この期限を過ぎてしまうと、賞与は経費として認められず、全額法人税の対象になってしまうため要注意です。

各種手当金の金額が減る可能性がある

役員報酬を最低限に抑えると社会保険の等級が下がり、将来受け取れる傷病手当や出産手当金などが減額される可能性があります。

また、会社によっては退職金を役員報酬額を基準に計算するケースもあることから、低すぎる設定は老後資金に影響する点を理解しておきましょう。

橋場先生

制度のルールや将来の影響を考えると、自己判断だけで進めるのは不安が残ります。

こうした場合は、ARK税理士法人にご相談ください。専門家が届出から資金計画まで丁寧にサポートし、安心して制度を活用できるようお手伝いします。

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事前確定届出給与に関するQ&A

記事の終わりに、経営者からよく寄せられる「事前確定届出給与」に関する疑問を取り上げます。

制度の対象や税務署の対応について、気になるポイントを簡潔に解説します。

Q:個人事業主も同様の方法は利用できますか?

A:事前確定届出給与は法人にのみ認められた制度です。

個人事業主の場合は、そもそも事業所得として収支を計算するため、役員報酬という概念が存在しません。

そのため給与や賞与の形で経費化する仕組みは利用できず、青色申告特別控除や各種経費計上といった方法で節税を検討する必要があります。

▶関連コラム:【事例つき】節税vs納税(投資) 本当にお得なのはどっち!?

Q:同様の方法で税務署から否認されることはありますか?

A:事前確定届出給与を利用していても、税務署からの否認を受ける可能性はあります。

事前確定届出給与は「決められた金額を決められた日に支給する」ことが条件です。
届出通りに実行しなかった場合や、金額や支給日をずらしてしまった場合には、経費として認められず税務署に否認されるリスクがあります。

制度を確実に活用するには、届出内容を守り、適切に手続きを進めることが重要です。

まとめ

事前確定届出給与は役員報酬を経費に計上できる数少ない制度であり、法人税の節税に加えて社会保険料や厚生年金の負担を大きく軽減できる点が大きな魅力です。

一方で、届出期限を守らなければ損金算入できない、将来の手当金や退職金が減る可能性があるなど、注意すべき点も存在します。

 

正しく活用すれば経営にプラスとなる強力な仕組みですが、条件を誤ると逆効果にもなりかねません。

導入や運用に不安がある場合は、専門知識を持つ税理士に相談するのが安心です。

ARK税理士法人では、事前確定届出給与の申請から実際の資金計画まで幅広くサポートしていますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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執筆者

ARK税理士法人代表税理士

橋場 和弥

高校卒業後は建設業へ就職。頭にタオルを巻いて現場仕事していました。その後ケーブルテレビ工事業を経て、税理士業へ転職。小規模事務所、大手税理士法人を経験し、税理士業界17年目で独立開業いたしました。税理士として異色の経歴ですが、だからこそ出来る他にはないサービスがございます。

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