【法人の節税】やってはいけない、実は損する対策とは?正しい節税対策についても解説

法人の節税対策は、大切な会社のキャッシュを守るために欠かせません。
しかし一方で、節税効果はあるものの、実際には会社の資金繰りを悪化させてしまう“やってはいけない節税対策”が存在することをご存知でしょうか。
本記事では、気をつけたい実は損する節税対策と、長期的に有効な正しい節税対策について解説します。
目次
実は損する?やってはいけない節税対策4選
法人の節税対策は多岐にわたります。
一方で、中には会社の資金繰りを悪化させたり、長期的に負担になるものもあります。
はじめに、注意が必要な節税対策をご紹介します。
- 養老保険(経費化に制約がありコスト大)
- 旅費規定(全社員適用で出費過多のリスク)
- 家賃の年払い(初回だけ節税効果、キャッシュ流出大)
- 中小企業退職金共済(全員加入が必須で固定費化)
養老保険(経費化に制約がありコスト大)
養老保険は死亡保障と貯蓄を兼ね備えた保険であり、保険料の一部を経費計上できる点から節税手段として紹介されることがあります。
しかし、経費化できるのは保険料の一部に限られ、また社員全員の加入が必要です。
結果として出費が膨らむ割に節税効果は限定的で、社員の目線で考えた場合でもメリットが薄い場合がありますので注意しましょう。
旅費規定(全社員適用で出費過多のリスク)
出張に際して定額の手当を支給する旅費規定は、経費計上ができるうえ、受け取る側に非課税となるメリットがあります。
ただし、これも社員全員が対象であるため、出張が多い会社では現金流出がかさみます。
無計画に導入すると節税どころか経営を圧迫しかねない点に注意が必要です。
(参考)国税庁 出張旅費、宿泊費、日当、通勤手当などの取扱い
家賃の年払い(初回だけ節税効果、キャッシュ流出大)
月ごとに支払う家賃を、事業年度末に翌年度分まで一括で年払いすることで、2年分の家賃を経費にできる節税法です。
ただし節税効果は初年度のみで、その後は毎年多額のキャッシュアウトが続くことになります。
キャッシュフローの悪化を招く可能性があり、長期的にはリスクの大きい方法です。
中小企業退職金共済(全員加入が必須で固定費化)
中小企業退職金共済は、従業員の退職金を積み立てられる制度で、掛金は経費になります。
しかし加入は全社員必須であり、従業員数が多ければその分だけ固定費が増加します。
経営状況が厳しい時期でも退職金支給が必要となるため、制度導入には十分な検討が求められます。
このように、経費として取扱うことができ節税につながるものの、節税効果が限定的であったり、全社員の加入が必要でキャッシュフローの悪化を招く制度もありますので注意が必要です。
ただし、会社の経営方針と合致していれば有用な制度もありますので、事業者ごとに最適な制度を選択することが重要です。

橋場先生
節税は正しく活用すれば経営の助けになりますが、間違った方法は逆効果になりかねません。
最適な節税方法は経営状態や業種などによって異なりますので、気になる方は専門家であるARK税理士法人へご相談ください。
正しい節税対策の考え方と対策をご紹介
では、どうすれば適切な節税対策ができるのでしょうか。
基本的な節税に対する姿勢や以下の有用な制度についてお伝えします。
- 小規模企業共済・倒産防止共済
- 設備投資や減価償却
- 福利厚生制度の導入
法人の正しい節税の考え方
節税の目的は「税金を減らすこと」ではなく「会社に資金を残すこと」です。
目先の経費化にとらわれてキャッシュを失えば本末転倒です。
将来の成長や経営安定につながる投資・制度を選び、長期的に会社に利益をもたらすかどうかを基準に判断しましょう。
さらに、節税の有効性は会社の規模・業種・経営状況によって大きく異なります。
同じ方法でも効果やリスクが違うため、自社に適した制度を選び、専門家の助言を受けながら戦略的に取り入れることが重要です。
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小規模企業共済・倒産防止共済
法人にとって代表的な節税方法は、小規模企業共済と倒産防止共済です。
どちらも掛金を全額経費にでき、資金を積み立てられる点が魅力です。
小規模企業共済は経営者自身の退職金準備に、倒産防止共済は取引先倒産時の備えに活用できます。
将来の資金確保と節税を同時に実現できる有効な制度といえるでしょう。
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設備投資や減価償却
新しい設備やシステムへの投資は、業務効率化や売上増加につながると同時に、減価償却を通じた節税効果も得られます。
特に中小企業投資促進税制などを利用すれば、初年度に大きく経費化できるケースもあります。事業成長と節税を両立できる有効な手段です。
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福利厚生制度の導入
社員の満足度を高める福利厚生も、適切に設計すれば経費計上できる節税策です。
健康診断や資格取得支援、食事補助などは税務上認められる範囲が広く、節税と人材定着の両方に貢献します。
社員にとっても魅力が大きいため、長期的に会社の成長を支える投資になります。
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まとめ
節税対策は正しく活用すれば資金繰りを助け、会社の成長につながります。しかし誤った方法を選べば、逆に経営を圧迫しかねません。
長期的な視点でキャッシュを守りつつ、制度を選ぶことが大切です。
法人に最適な節税プランを知りたい方は、ぜひARK税理士法人へご相談ください。専門家が会社の状況に合った最善の方法をご提案します。
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