【経営者必見】車両費全額を1年で経費計上する方法│減価償却についても分かりやすく解説

「車両費全額を、1年で経費として計上する方法があると聞いたのですが、本当ですか?」
こうした質問を頂くことがあります。
単年で多額の利益が出た場合、車の購入などによって経費を計上して節税を図りたい方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、車を購入して1年で経費として落とす方法について解説します。
方法を解説する際に、前提知識となる減価償却についても分かりやすく解説しますので、車の購入で経費を計上して節税したい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
車を経費で落とす場合に知っておきたい「減価償却」
はじめに、車を経費で落とす場合に知っておきたい、減価償却について解説します。
減価償却とは、会社で車やパソコン、応接セットといった長期に渡って使用し続けられる資産(償却資産)を購入した場合に、一括で経費にせず複数年に分けて経費にする決まりです。
償却資産は複数年にわたり収益を生みますので、収益と経費とを対応させる目的で減価償却は設定されています。
償却資産によって、たとえば以下のように減価償却する年数が決められています。
- 普通自動車 6年
- 事務机、事務いす 15年
- パソコン 4年
- カメラ 5年 など
たとえば、40万円で購入したパソコンを減価償却する場合は、償却年数が4年ですので、毎年定額で減価償却する定額法を利用すると以下の計算で経費に計上することとなります。
減価償却の計算例
- 1年目:償却額(経費算入額)10万円 期末帳簿価額30万円
- 2年目:償却額(経費算入額)10万円 期末帳簿価額20万円
- 3年目:償却額(経費算入額)10万円 期末帳簿価額10万円
- 4年目:償却額(経費算入額)99,999円 期末帳簿価額1円
※償却が終了した場合、1円が残存簿価として残る。
このように、1~3年目までは毎年10万円を、最後の4年目には99,999円を経費として算入します。
車を経費で落とす方法(原則)
車を経費で落とす方法も、パソコンを減価償却する方法と変わりません。
たとえば、新車で事業用の車両(300万円)を購入した場合、一般事業者用の車両の償却年数は6年ですので、次のような計算式で経費に計上することとなります。
減価償却の計算例
- 1年目:償却額(経費算入額)501,000円 期末帳簿価額2,499,000円
- 2年目:償却額(経費算入額)501,000円 期末帳簿価額1,998,000円
- 3年目:償却額(経費算入額)501,000円 期末帳簿価額1,497,000
- 4年目:償却額(経費算入額)501,000円 期末帳簿価額996,000円
- 5年目:償却額(経費算入額)501,000円 期末帳簿価額495,000円
- 6年目:償却額(経費算入額)494,999円 期末帳簿価額1円
このように、通常は車を経費で落とす場合は、償却年数に応じて分割して経費に計上することとなります。
一方で経営者によっては、減価償却を利用して複数年にわたり経費として計上せずに、単年で一括して経費として計上したいと考える方もいるでしょう。
1年で経費に算入してしまうには、どうすればよいのでしょうか。
車両費全額を1年で経費計上する方法:4年落ちの中古車を購入する
通常は減価償却を利用して複数年で経費に計上しますが、特定の方法を利用することで、1年で全額を経費として計上することが可能となります。
その方法は、4年落ちの中古車を購入することです。
どうして4年落ちの中古車を購入することで、車両費全額を1年で経費に計上できるのか解説します。
実は、中古車は新車で購入する場合とは、減価償却する期間の算定方法が異なります。
中古車の耐用年数は、次の計算式を利用して求めることとなります。
(法定耐用年数-経過年数)+(経過年数×20%)
たとえば、4年落ちの中古車を購入した場合の耐用年数は、以下のように計算します。
中古車の耐用年数の計算例
- 法定耐用年数:6年
- 経過年数:4年
(法定耐用年数:6年-経過年数:4年)+(経過年数:4年×20%)= 2.8年
中古資産の耐用年数の計算は1年未満を切り捨てますので、計算結果は「2年」となります。
さらに、減価償却は1年で200%を償却できるルールがありますので、耐用年数2年の車を200%減価償却することで、1年で全額を減価償却することが可能です。
このような方法を利用することで、一定の年数が経過した中古車であれば1年で減価償却してしまうことができるのです。

橋場先生
車両費は高額ですので、紹介した方法を利用することで当年度の税金を大幅に抑えることも可能です。
ただし、プライベートでの使用との区別がつかない場合など、経費として認められないケースもありますので注意が必要です。
確実に経費として計上したい方は、ARK税理士法人まで、お気軽にご相談ください。
車を経費で落とす場合の注意点
車を経費で落とす場合は、注意しなければいけない点もありますので紹介します。
減価償却の計算方法の把握(定率法と定額法)
1つ目は、減価償却の計算方法について把握することです。
減価償却の計算方法には、定率法と定額法2つの方法があります。
例として、新車で普通自動車を購入する場合の償却率(毎年経費として計上する金額の割合)は、定率法0.333、定額法0.167と定められています。
自動車の購入額が300万円である場合、定率法は99.9万円(300万円✕0.333)、定額法は50.1万円(300万円✕0.167)となり、単年で経費に計上できる金額が変わります。
通常通り減価償却して車両費を経費に計上する場合は、どちらの方が効率的に節税できるか確認することをおすすめします。
減価償却の計算方法の届出が必要
2つ目は、特定の償却方法を利用する場合には減価償却の計算方法について届け出が必要である点です。
紹介した定額法、定率法といった償却方法は、資産ごとに原則的に使用する方法が定められています。(例:器具備品は定率法、建物やソフトウェアは定額法 など)
指定された償却方法以外で減価償却する場合は、事前に届け出を提出しなければいけません。
カーリースの利用も検討する
3つ目は、新車、中古車に加えてカーリースの選択肢を加えることです。
カーリースは、所有権がリース会社にあることから、減価償却の計算が不要となり、また車にかかる費用を当年度の経費として一括計上することが可能です。
車を借りるカーリースは初期費用の負担がかからず、また車検などの各種メンテナンス費用も含めて経費を計算できますので、経費処理の手間を最小限に抑えられます。
毎月同額の支出となることから、年度予算の管理をしやすいことなど、豊富なメリットがありますので、新規に車両を取得する場合は、選択肢に含めてみましょう。

橋場先生
節税も目的に含めて車両を導入する場合、新車・中古車・カーリースと様々な選択肢が生まれます。
どの方法を利用するべきか迷っている方は、節税メリットや経費処理の容易さなど、複数の視点からアドバイスするARK税理士法人まで、お気軽にご相談ください。
まとめ
事業用として購入した車を1年で経費として落とす方法について解説しました。
単年で多額の売り上げがあった場合など、経費の計上によって節税する方法の一つは車両費を活用することです。
紹介したとおり、車両費は工夫することで1年で全額を経費として計上することが可能です。
一方で、新車と中古車、カーリースなど車両を取得する方法は複数あり、どの方法を取れば収支を最適化できるのか分からなくなることもあります。
こうした場合は、複数の節税対策から最適な方法をご提案するARK税理士法人まで、お気軽にご相談ください。
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