税理士を変更する際のトラブル要因とは?円満解約に向けた断り方のコツを解説

顧問税理士の変更を検討する際、「今の税理士とトラブルにならないか」「スムーズに引き継ぎができるのか」といった不安はつきものです。
長年付き合いのある税理士であるほど、情が移ったり、関係の悪化を恐れて変更を伝えづらいと思う経営者の方は少なくありません。
そこで本記事では、税理士変更でよくあるトラブルの原因とその回避策、円満に解約するための断り方のコツを、客観的な視点から解説します。
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目次
税理士変更でよくあるトラブル要因
税理士を変更する際、事前の準備や確認が不足していると、思わぬトラブルに発展するリスクが高まります。
実際にどのようなトラブルが起こる可能性があるのか、4つの代表的な事例をご紹介します。
必要書類が返却されない(原本・データ)
最も頻発し、かつ業務への支障を来すのは「預けていた書類やデータが返却されない」というトラブルです。
税理士に記帳代行を依頼している場合、会社の重要書類の原本を税理士が保管しているケースがあります。
解約を申し出た途端に態度が硬化し、以下のような重要書類の返却を渋られる、または意図的に遅延させられる事態が起こることがあります。
- 総勘定元帳などの帳簿類
- 請求書や領収書の原本
- 過去の決算書や税務申告書の控え
- 会計データのバックアップ など
こうした書類やデータが不足すると、新しい税理士は過去の経理状況を把握できず、今後の正しい税務処理や申告に影響を及ぼすこととなります。
新しい税理士への引き継ぎがスムーズに進まない
前任の税理士が非協力的で、新しい税理士への情報共有が適切に行われないケースも問題です。
会社の経理には、「科目を適用した理由」「使用している特例」といった、会社独自の「過去の経緯」や「仕分ルール」が存在します。
解約に不満を持った前任の税理士が、暗黙のルールや詳細な申し送り事項を新しい税理士に共有しないケースもあります。
結果として、新体制への移行後に会計処理の不整合が発覚したり、税務調査が入るリスクが高まったりと、会社側が不利益を被ることとなります。
顧問契約解除時に法外な料金を請求される
契約解除のタイミングで、想定外の金銭トラブルに発展することも少なくありません。
「解約する場合は違約金が必要」と、契約書に記載のない金銭を要求されたり、これまで請求されたことのない「未払い報酬」や「追加の作業費」を請求されたりするケースが該当します。
特に、口約束だけで長年付き合ってきた場合や、契約書の内容が曖昧な場合にトラブルにつながることがあります。
e-Taxや会計ソフトの登録情報の変更漏れ
近年問題になりがちなのは、デジタルツールやシステムに関する引き継ぎトラブルです。
電子申告(e-TaxやeLTAXなど)に必要な「利用者識別番号」や暗証番号、クラウド会計ソフトの「管理者権限」が前任の税理士に紐づいたままになっていて、会社側でパスワードを把握していないケースが見受けられます。
権限の移行が適切に行われなければ、申告データの送信ができない、また過去の会計データにアクセスできない、といった問題につながることがあります。

橋場先生
「今の税理士との契約解除で揉めるのが怖い」
「データや書類の引き継ぎが不安で変更に踏み切れない」
こうしたお悩みを抱える経営者の方は多いものです。
当法人では、他事務所からの乗り換えサポートも数多く経験していますので、税理士の変更を検討している場合は、「無料相談」からお気軽にご相談下さい。
トラブルを避けるために踏むべき「変更の手順」
ご紹介したようなトラブルを未然に防ぐためには、唐突に解約を申し出ることを避けましょう。
以下の手順のように、計画的かつ順序立てて手続きを進めることが重要です。
(1)現税理士との顧問契約書の内容を確認する
解約を申し入れる前に、まずは現在締結している「顧問契約書」を熟読しましょう。
特に確認が必要な点は「契約解除の予告期間」と「違約金・損害賠償の規定」です。
一般的な契約では「解約の3ヶ月前までに申し出ること」などと定められています。
条件を無視して解約を申し出ると、残存期間分の顧問料を請求されるなど、正当な理由に基づく違約金が発生する可能性があります。
(2)新しい税理士を事前に見つけておく
「今の税理士を解約してから、ゆっくり次の税理士を探せばよい」こうした考えは危険です。
税務の手続きは毎月発生しますし、万が一税務署からの問い合わせがあった場合に、顧問税理士のいない期間ができる点は避けましょう。
現在の税理士に解約を申し出る前に新たに検討している税理士と面談し、相性のよい税理士と内々に契約を結びましょう。
「◯月からお願いしたい」と事前に決めて、移行するタイミングを合わせることが安全な税理士変更のコツです。
▶関連コラム:【顧問税理⼠とは?】顧問契約する意義や業務内容、料⾦感を解説│追加料金トラブルを防ぐチェックポイントもご紹介
(3)引き継ぎに必要な書類をリストアップする
新しい税理士が決まったら、現在の税理士に預けている書類をリストアップし、漏れなく回収する準備を行います。
新しい税理士に「引き継ぎに必要な書類リスト」を作成してもらうと確実です。
また、デジタルツールの権限移行も重要です。
例として、主に回収するべき書類は以下のとおりです。
- 過去3期分の決算書および法人税申告書(各種数値の増減、届出内容の確認などのため)
- 総勘定元帳(紙またはデータ)
- 税務署への各種届出書の控え(青色申告承認申請書、役員報酬の届出書など)
- 預けている領収書や請求書、通帳のコピー
- e-Taxの利用者識別番号と暗証番号
- 会計ソフトのログイン情報と管理者権限
「返却して欲しいもの」を明確に書面やメールで伝え、同時に返却期限を設けることも重要です。
(4)解約の意思を伝え、書類の返却依頼と引き継ぎを行う
準備が整ったら、契約書で定められた期限までに解約の意思を伝えます。
通知後は、決まった期日までにデータを移行し、新体制での運用を開始します。
可能であれば、現在の税理士と新しい税理士の間で直接データのやり取り(またはフォーマットの確認など)を行ってもらえると、経営者の負担を軽減できます。
円満に解約するための「断り方」のコツと文例
トラブルを防ぐ最大のポイントは「相手のプライドを傷つけないこと」です。
現在の税理士に対して不満があった場合でも、直接伝えることは不利益につながりますので避けましょう。
不満は述べず「前向きな理由」を伝える
「対応が遅い」「アドバイスがない」といったネガティブな理由は、相手の感情を損ね、書類の返却拒否など業務面での嫌がらせに発展するリスクも。
断る際は、以下のように相手に非がない「前向きな理由」や「どうしようもない外的な理由」を提示することがおすすめです。
- 今後の事業拡大に向けて、特定の業界に特化した税理士が必要になった
- 親戚が税理士として独立、付き合いのためそちらに変更することに
- 融資を受ける銀行からの指定で、会計システムを全面的に入れ替えることに
このように、「現在の税理士が悪いわけではないが、会社の都合で変更せざるを得なくなった」というスタンスを貫くことが、機嫌を損ねないためのコツです。
これまでのサポートに対する感謝を伝える
今まで受けてきたサポートに対する感謝を伝えることは、円満に解約するための重要なポイントです。
「創業時から支えて頂き、本当にありがとうございます」
「先生のアドバイスに助けられた場面はたくさんあります」
こうした一言があることで、現在の税理士も「最後まで適切に引き継ぎしよう」こうした気持ちになりやすいもの。
感情的な対立を避け、丁寧かつ事務的に変更手続きを進めましょう。
【文例】そのまま使える解約通知のメッセージ案
解約の申し出は、言った・言わないを防ぐためにも、まずはメールや書面(内容証明郵便など)で記録を残し、その後に電話や対面で挨拶をするのが理想的です。
例として、次のような丁寧な文面で解約の意思を伝えましょう。
<メール・書面で使える文例>
件名:顧問契約に関する大切なお知らせ(株式会社〇〇)
〇〇税理士事務所
〇〇先生
平素は大変お世話になっております。株式会社〇〇の〇〇(氏名)です。
本日は、貴事務所との顧問契約につきまして、ご報告がありご連絡いたしました。
誠に勝手ながら、本年〇月末日をもちまして、貴事務所との顧問契約を解除させていただきたく存じます。
理由といたしましては、今後の事業展開を見据え、親族が新しく立ち上げた税理士法人へ業務を一本化することとなったためです。
創業時より〇年間にわたり、〇〇先生には多大なるお力添えをいただき、心より感謝申し上げます。先生の親身なサポートがなければ、今日の弊社の成長はありませんでした。
つきましては、今後の引き継ぎや、お預けしております書類(総勘定元帳、過去の申告書控え等)の返却手続きにつきまして、追ってご相談させていただけますと幸いです。
本来であれば直接お伺いしてご挨拶すべきところ、まずは取り急ぎメール(書面)でのご連絡となりますこと、深くお詫び申し上げます。
末筆ではございますが、貴事務所の益々のご発展をお祈り申し上げます。

橋場先生
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税理士変更に最適なタイミングはいつ?
税理士を変更する意思を固めたあと、検討するべきは変更のタイミングです。
変更におすすめのタイミングと、避けるべき時期について解説します。
最もトラブルが少ないのは「決算報告の直後」
税理士変更に最適なタイミングのひとつは「決算申告が完了し、税務署への提出が終わった直後(新しい期が開始してすぐ)」です。
決算が締まることで、1年間の会計データが完全に確定します。
区切りのよいこのタイミングであれば、期中の未確定なデータや仕訳を引き継ぐ必要がなく、新しい税理士は「期首残高」のクリーンな状態で業務を始められます。
前任の税理士にとっても、自分の責任範囲である1年間を完遂してからの引き継ぎとなりますので、心理的な抵抗が少なくトラブルに発展しにくいメリットもあります。
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経営者の交代や担当者の異動時
会社の組織体制が変わるタイミングも、税理士変更の自然な理由となります。
たとえば社長の世代交代(事業承継)や経理責任者の退職、異動などに合わせて「新体制になることから、経理フローや税理士も見直すことになった」と、組織の再編に伴う変更として従来の税理士に伝えられます。
結果として、心理的、事務的ハードルを下げることが可能となります。
税務調査の前後は避けるべき理由
避けたいタイミングとして挙げられるのは、「税務調査の通知が来た直後」や「税務調査の対応中」です。
この時期に変更すると、過去の申告内容に対する責任の所在が前任者と後任者の間で曖昧になります。
また、新しい税理士は過去の申告の根拠を正確に把握できず、税務調査官からの指摘に対して十分な論理で反論できない可能性もあります。
税務調査の連絡が来た場合は、申告書を作成した現在の税理士に対応を依頼し、調査の終了後に変更手続きを進めましょう。
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トラブルが発生してしまった時の対処法
どれだけ丁寧に税理士の変更を進めても、前任の税理士の対応次第ではトラブルに発展してしまう可能性もあります。
万が一、トラブルになった場合の対処法もご紹介します。
証拠となる情報を整理する
「言った・言わない」のトラブルを避けるために、やり取りはすべて記録に残すことが重要です。
たとえば、以下のような証拠を整理しましょう。
- 税理士との契約書
- 解約を申し入れた際の履歴(メール、チャットなど)
- その他電話の内容のメモや録音 など
こうした事実関係を客観的に証明できる資料を揃えましょう。
また、以下の事実関係を明確にしておくことも重要です。
- いつまでに書類を返却すると約束したか
- どのような名目で金銭を要求されているか
証拠があれば、トラブルに発展したあと第三者に相談する際に有利に働きます。
税理士会へ問い合わせて正しく対処する
正当な理由なく書類が返却されない、あるいは暴言を受けるといった事案があった場合、各都道府県に設置されている「税理士会」の相談窓口(綱紀監察部など)を活用することも有効です。
(参考)日本税理士会連合会 Q:税理士との間でトラブルが生じた場合、どこに相談すればよいでしょうか。
税理士は税理士法に基づいて業務を実施していて、正当な理由のない書類の留置などは懲戒処分の対象となる可能性があります。
「応じて頂けない場合、税理士会にご相談させて頂きます」と伝えることも、トラブル抑止に効果を発揮します。
必要に応じて弁護士などの専門家に相談する
契約書に記載のない違約金を請求されたり、データの留置など業務妨害を受けたりするなど、法的な紛争に発展した場合は、自力での解決が困難な場合があります。
こうしたケースでは、企業法務に強い弁護士に相談し、法的な代理人として交渉してもらいましょう。
トラブルで精神的な負担を強いられるより、専門家の力を借りて迅速な解決を図ることをおすすめします。
まとめ
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税理士の変更は、多くの経営者にとって時間と労力を要するイベントです。
しかし、本記事で解説したように、事前の契約内容の確認や新しい税理士の確保、そして前任者を尊重したコミュニケーションを徹底することで、トラブルの多くは回避可能です。
また、税理士変更の目的は、自社の事業成長をさらに加速させるための「前向きな経営判断」に当たります。
自社の現状や課題に合わなくなった税理士と付き合いを続けることは、長期的な視点では企業の成長スピードを鈍らせる原因にもなり得ます。
本記事でご紹介した手順や変更のコツを参考に、円滑に税理士の移行手続きを進めましょう。
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