競馬の”当たり馬券”には税金がかかる?粗品さんの万馬券を例に、確定申告が必要なケースを解説!

「万馬券が当たった!」
そんな夢のような瞬間にも、実は“税金”が関係することをご存じでしょうか。
競馬で当たり馬券が出た場合の払戻金は、場合によっては確定申告の対象となり、思わぬ納税義務が発生することがあります。
本記事では、2024年に話題となった粗品さんの万馬券を例に、競馬の払戻金にかかる税金の仕組みや、確定申告が必要になるケースを税理士がわかりやすく解説します。
目次
競馬で当たったお金には税金がかかる?【一時所得の基本を解説】
「競馬で当たったお金は、全部自分のものじゃないの?」
このように思う方も多いかもしれません。
しかし実は、競馬の当たり馬券で得た払戻金には税金がかかるケースがあります。
「競馬・競輪・宝くじ」の課税区分の違い
同じ「公営ギャンブル」でも、ジャンルによって税金の取り扱いには違いがあります。
- 宝くじ:非課税(法律上、税金がかからない)
- 競馬・競輪・オートレース:課税対象(所得税がかかる)
つまり、競馬で当たった払戻金は税金の対象となる一方で、宝くじは当たっても非課税という違いがあります。
競馬は「一時所得」に分類される
国税庁では、競馬の払戻金を「一時所得」として取り扱うと明示しています。
一時所得とは、継続的な取引ではなく臨時的に得た利益のことを指します。
つまり、趣味として馬券を購入して得た払戻金は「一時所得」となり、給与など他の所得と合算して課税額を計算する必要があります。
一時所得の計算式:収入−(支出+特別控除50万円)
一時所得の金額は、次の式で計算されます。
- 一時所得 = 総収入金額 −(収入を得るために支出した金額+特別控除額50万円)
この計算で求められた金額が「0円以下」であれば、税金はかかりません。
つまり、おおよそ50万円を超える一時的な利益が出た場合にのみ、当たり馬券は課税対象となります。

橋場先生
税金の仕組みは整理するとシンプルですが、実際の申告時には計算や控除の扱いなどで迷う方は多いものです。
「どこまでが課税対象?」「申告は必要?」悩んだときは、ARK税理士法人までお気軽にご相談ください。
専門の税理士が、競馬の払戻金だけでなく副業・投資・贈与など幅広い税務相談をお受け致します。
粗品さんの万馬券はいくら課税された?【実際の計算例】
お笑いコンビ、霜降り明星の粗品さんが、2024年に2,412万円の万馬券を的中させたニュースは大きな話題となりました。
ただ、その高額払戻金には当然ながら「税金」がかかります。
実際にどれくらい課税されるのか、具体的に見ていきましょう。
【前提条件】
- 総収入金額:2,412万円
- 収入を得るために支出した金額:0.1万円
- 特別控除額:50万円
【シミュレーション】
- 総収入金額 2,412万円 −(収入を得るために支出した金額 0.1万円+特別控除額 50万円)= 約2,462万円
一時所得は、所得の金額を2分の1にします。
- 一時所得として課税される金額:約1,231万円
粗品さんのように高額所得者の場合、所得税の税率は最大45%、住民税は10%と予想されることから、以下のとおり税金がかかることとなります。
▶約1,231万円 × 55%(所得税+住民税)= 約677万円
つまり、万馬券で得た2,412万円のうち、およそ677万円が税金として納める必要があるということになります。
この払戻金のうち所得税部分は「令和6年分の所得」として、翌年の令和7年3月15日までに確定申告し、税金を納める必要があります。
さらに住民税は、申告後に自治体から送付される納付書をもとに、令和7年の6月・8月・10月・翌年1月の4回に分けて支払います。
▶関連コラム:【有馬記念】夢の万馬券に税金が!?競馬で儲かったらどれぐらい税金かかるのか税理士が解説

橋場先生
万馬券の当選は夢がありますが、税金を考慮すると実際の手取りは思ったよりも少ないことが実情です。
本記事のような払戻金のほか、相続を受けた場合や不動産を売却する場合など、普段とは異なる収入があった場合は、ARK税理士法人まで、お気軽にご相談ください。
寄付で税金が減る?粗品さんの「節税効果」をチェック
粗品さんは当選した2,412万円の払戻金を全額、能登半島地震の被災地である石川県へ寄付したことでも話題になりました。
(参考)サンスポ 霜降り明星・粗品、3連単241万馬券的中 波乱の6日中山競馬4R仕留めた!2400万円を能登半島地震被災地に全額寄付
このような寄付には、税金の軽減につながる「寄附金控除」という制度が適用されます。
寄附金控除の効果は「所得税」と「住民税」双方に関係します。
いずれも、寄付金から2,000円を差し引いた金額をもとに減税額を算出します。
【寄付金控除の計算式】
所得税の控除額:(寄付金 – 2,000円)× 所得税率
住民税の控除額:(寄付金 – 2,000円)× 10%
【寄付金控除のシミュレーション】
- 寄付金:2,412万円
- 所得税+住民税:55%
- 寄付金控除額:約1,326万円
寄付を行うと確かに税金は軽減されますが、寄付した金額がそのまま戻ってくるわけではありません。
粗品さんのケースでも、減税額は1,300万円ほどですが、寄付した約2,400万円全額が手元から出ているため、実質的には約1,100万円の持ち出しになります。
つまり、「節税」ではあっても「得をする」わけではないという点を理解しておきましょう。
▶関連コラム:【個人事業主必見】ふるさと納税は結局お得なのか?年収シミュレーションで解説
まとめ
競馬の払戻金は「一時所得」として税金がかかる場合があります。
特に50万円を超える利益が出た場合は、確定申告が必要になる可能性がある点に注意しましょう。
また、競馬の当たり馬券に限らず「収入が発生する時期」と「税金を支払う時期」が異なる点にも注意が必要です。
実際に支払うのは、所得税は確定申告の際(翌年の3月15日まで)、住民税は翌年の6月・8月・10月・翌年1月の4回に分けて納付します。
当選金(その他の一時的な収入)を使い切ってしまうと納税資金が足りなくなるケースもありますので注意しましょう。
税金の仕組みや申告のタイミングに不安がある方は、ぜひARK税理士法人へご相談ください。
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