【赤字のとき税金が安くなる】還付手続き(請求)とは?仕組みをシミュレーション付きで詳しく解説

赤字決算のとき「黒字決算のとき、支払った税金が戻らないかな」と思ったことはありませんか?
実は、前年に黒字で納税していた企業や個人事業主が翌年赤字になった場合、前年度に支払った税金の一部が返ってくる「繰戻し還付」という制度が用意されています。
本記事では、繰戻し還付制度の手続きとは、どのように取っていけばよいのか概要とともにお伝えします。
目次
赤字のとき税金が安くなる「繰戻し還付」の概要を紹介
はじめに、そもそも繰戻し還付とはどういった制度なのか、概要をご紹介します。
そもそも「還付」とは?
本制度を利用する上で認識したい事柄は、「還付」の考え方です。
「還付」とは、納めすぎた税金を税務署から返してもらうことを指します。
たとえば年末調整や確定申告で税金の払いすぎが判明した場合、還付金としてお金が戻ってくるケースがこれにあたります。
事業者の場合でも、条件を満たせば法人税の還付を受けられる制度が用意されています。
▶関連コラム:【徹底解説】年末調整の攻略法!要点を抑えて節税しましょう!
繰戻し還付の仕組みを紹介
繰戻し還付は「前期に黒字で法人税などを納税し、今期が赤字になった場合」に、前期の利益と今期の赤字を通算して、払いすぎた税金を再計算、その差額分を返してもらえる制度です。
税負担を軽減できるため、経営が苦しい時の資金確保にもつながります。
(引用)国税庁 純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求手続
繰戻し還付を受けるための条件
繰戻し還付を受けるには、主に以下の条件を満たす必要があります。
- 青色申告をしている法人または個人であること
- 前期に黒字決算で納税していること
- 赤字が出た期に「還付請求書」を期限内に提出すること
これらをクリアすれば、還付の対象となります。
繰戻し還付の申請方法、手続きの流れ
申請の流れはシンプルで、赤字が確定した年度の確定申告書と一緒に「欠損金の繰戻しによる還付請求書」を税務署に提出します。
その後、税務署が内容を確認し、問題がなければ数ヶ月以内に還付金が振り込まれます。

橋場先生
申告書類の作成や税務署対応に不安がある方は、専門家に相談すると安心です。
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いくら還付される?シミュレーションで確認
実際にどれくらいの金額が還付されるのか、シミュレーションで確認してみましょう。
繰戻し還付は「前期の黒字」と「当期の赤字」を相殺したうえで税額を再計算し、前期に支払った税金との差額分が戻ってくる仕組みです。
たとえば、以下のようなケースを考えてみましょう。
還付手続きの計算シミュレーション
●前提条件
- 前期の利益:700万円
- 前期の法人税(15%として計算):105万円
- 今期の赤字:400万円
この場合、前期の利益700万円から今期の赤字400万円を差し引いた「通算利益」は300万円となります。
改めてこの300万円に法人税15%をかけると、税額は45万円です。
つまり、前期に支払った法人税105万円から再計算後の税額45万円を差し引いた金額、60万円が還付請求額となります。
本制度を利用する場合、赤字の金額が大きくなるほど還付される金額も大きくなる可能性があります。
ただし、還付される上限は「前期に納付した法人税額」までですので、納税額を超える還付はありません。
繰戻し還付利用時の注意点
繰戻し還付は資金繰りの助けになる制度ですが、申請の際にはいくつか注意点がありますのでご紹介します。
税務署からのチェックに備える
繰戻し還付を申請すると、税務署からの内容確認が通常より厳しくなるケースがあります。
特に、帳簿の整合性や実際の事業活動、経費の妥当性などが調査対象になる可能性もあり、申告内容と帳簿、証憑書類がしっかり整っているか、日頃からの記帳・管理が重要です。
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還付の時期は申請後数ヶ月
還付金が振り込まれるまでには、申請から2〜3ヶ月ほどかかることが一般的です。
税務署の審査状況や書類の不備によっては、それ以上に時間がかかる場合もあります。
早急に資金が必要なケースでは、繰戻し還付はすぐに活用できる制度とはいえませんので、あらかじめ余裕をもって申請手続きを進めることが大切です。

橋場先生
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まとめ
繰戻し還付は、赤字の年に前期の黒字分をさかのぼって再計算し、払いすぎた法人税や所得税を取り戻せる制度です。
正しく活用すれば、資金繰りの改善や経営の安定につながります。
ただし、申請には期限や条件があり、税務署からの確認が厳しくなる可能性もありますので、制度の正しい理解と丁寧な準備が不可欠です。
「自社が対象になるか分からない」「手続きを正確に進めたい」と感じたら、税務の専門家に相談すると安心です。
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