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法人の節税対策はもう1つ法人を作ること!?税理士直伝㊙節税術

法人を運営する上で生み出した利益は、可能な限り自社の成長や社員への還元に回したいものです。

しかし、節税対策をしなければ利益の多くの部分を税金として支払うことになりますので、税金を抑える対策を取ることが勧められます。

複数の方法が考えられますが、中でも高い効果を期待できる対策のひとつは、法人をもうひとつ作ることです。

2つ目の法人を立ち上げることがどうして節税対策となるのか、本記事では紹介します。
なお、本記事で「節税」は、法人税、消費税、社会保険料の3つを含むものとしてお伝えします。

税務・財務・資産管理などの課題は「ARK税理士法人」まで

法人の節税対策:2つ目の会社を立ちあげる

法人の節税対策:2つ目の会社を立ちあげる

法人を運営する上で、法人税や消費税、社会保険料を節税するためには、現在運営している法人に加えて2つ目の会社を立ち上げることが有効です。

なお、2つ目の会社を法人として立ち上げる場合、個人事業として立ち上げる場合とで節税の特徴が変わります。

このため本記事では、売上や役員報酬、経費や利益額といった条件は揃えた上で、法人1社のみ、法人2社、法人と個人事業主、3つのケースに分けて解説します。

はじめに、各ケースごとに法人税と消費税、社会保険料がどのように変わるのか、そして税金の総額がどのように変わるのかシミュレーションの結果からご紹介します。

ケース(1)法人単体の場合

 

●前提条件

  • 売上:6,000万円
  • 役員報酬:1,000万円
  • 経費:3,400万円
  • 利益:1,600万円

 

●シミュレーション結果

  • 法人税:448万円(800万円×23%、800万円×33%)
  • 消費税:260万円
  • 社会保険料:300万円
  • 税金、社会保険料の総額:1,008万円

ケース(2)法人を2つに分割した場合

 

●前提条件

法人(1)

  • 売上:1,000万円
  • 役員報酬:120万円
  • 経費:80万円
  • 利益:800万円

 

法人(2)

  • 売上:5,000万円
  • 役員報酬:880万円
  • 経費:3,320万円
  • 利益:800万円

 

●シミュレーション結果

法人(1)

  • 法人税:184万円(800万円×23%)
  • 消費税:0円
  • 社会保険料:36万円
  • 税金、社会保険料の総額:220万円

 

法人(2)

  • 法人税:184万円(800万円×23%)
  • 消費税:168万円
  • 社会保険料:264万円
  • 税金、社会保険料の総額:616万円

 

法人(1+2)

  • 法人税:364万円
  • 消費税:168万円
  • 社会保険料:300万円
  • 税金、社会保険料の総額:836万円(法人単体と比較して172万円の減)

ケース(3)法人と個人事業に分割した場合

 

●前提条件

法人

  • 売上:1,000万円
  • 役員報酬:120万円
  • 経費:80万円
  • 利益:800万円

 

個人事業

  • 売上:5,000万円
  • 役員報酬:0万円
  • 経費:3,320万円
  • 利益:1,680万円

 

●シミュレーション結果

法人

  • 法人税:184万円(800万円×23%)
  • 消費税:0円
  • 社会保険料:36万円
  • 税金、社会保険料の総額:220万円

 

個人事業

  • 所得税等:570万円
  • 消費税:168万円
  • 社会保険料:0円
  • 税金、社会保険料の総額:738万円

 

法人+個人事業

  • 法人税:754万円
  • 消費税:168万円
  • 社会保険料:36万円
  • 税金、社会保険料の総額:958万円(法人単体と比較して50万円の減)

このように、結果として法人を単独で運営する場合は1,008万円、法人を2社に分けて運用する場合は836万円、法人と個人事業に分けて運営する場合は958万円と差が生まれました。

同じ事業をしている場合でも、運営する方法によって支払う税金は変わるのです。

では、どうして支払う税金に差が生まれるのか、その理由をご紹介します。

橋場先生

ご紹介したシミュレーション結果は一例で、実際は運営される業種や規模、将来の見通しによって最適な選択肢は変わります。

具体的にどの選択肢を選ぶべきか、気になる方はARK税理士法人まで、お気軽にご相談ください。

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法人税の節税についての解説

法人税の節税についての解説

法人税は法人の活動で得た利益に対してかかる税金で、800万円までであれば約23%の税金で済みますが、800万円を超える部分については約33%に増えます。

このため、利益が800万円を超える法人は、2社に分けて利益を分割するだけで、10%ほどの節税となります。

シミュレーションの中では、法人単体では1,600万円のうち800万円部分に23%、800万円を超える部分に33%の税金がかかる一方で、二社に分けた場合は800万円の利益それぞれに23%の税金に抑えられ、80万円の節税になっています。

なお、法人と個人事業に分割する場合は所得税や住民税がかかることから、より高い税率を支払うこととなり、法人税(所得税)単体で見ると122万円高い税金を支払う結果となりました。

 

消費税の節税についての解説

消費税の節税についての解説

消費税は、売上から経費を差し引いた金額にかかりますので、今回のシミュレーションでは、法人単体では260万円を支払っています。

一方で法人を2社に分けた場合、免税事業者の制度を活用可能です。

免税事業者とは、対象とする事業年度の2年前の売上高が1,000万円未満であった場合、消費税の支払いを避けられる制度です(インボイスを適用しない場合に限られる)。

今回のシミュレーションのように、2社の法人のうち片方の消費税対象額を1,000万円以内に抑えれば、消費税を節約することが可能です(今回は92万円の節税となりました)。

 

社会保険料の節税についての解説

社会保険料の節税についての解説

最後に社会保険料の節税について解説します。
社会保険料は法人を分割した場合でも、役員報酬の総額が変わらなければ同額の負担となります。

一方で個人事業主の場合は、法人が社会保険に加入している場合、国民健康保険と国民年金の支払いは免除されます。

このため、個人事業側で利益をいくら出しても社会保険料を支払う必要がなくなりますので、今回のシミュレーションでは法人単体で運営する場合と比べて264万円もの節税になっています。

このように、法人単体、法人2社に分割、法人と個人事業主に分割、運営する方法によって節税できる総額が変わります。

▶関連コラム:【事業主必見】国民健康保険を0円にする方法とは?

橋場先生

今回のシミュレーションの結果では法人2社に分割する方法が最も有利になりましたが、法人と個人事業主に分割する方が有利になるケースもあります。

実際にどのケースが有利になるのか、確認するには具体的な計算が必要ですので、気になる方はARK税理士法人まで、お気軽にご相談ください。

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まとめ

法人を運用する上で可能な限り支払いを避けたい、税金を節約する方法のひとつとして法人を分割する方法について解説しました。

法人単体、法人2社に分割、法人と個人事業主に分割、それぞれ有利になるケースは変わります。
また、法人や個人事業を別途立ち上げる手間や、法人を維持する手数料など考慮するべき事柄は他にもあります。

ご自身の会社で有利になるケースについて知りたい方は、ARK税理士法人まで、お気軽にご相談ください。

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執筆者

ARK税理士法人代表税理士

橋場 和弥

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