【事例つき】節税vs納税(投資) 本当にお得なのはどっち!?

事業で利益が出た場合、手元に残る金額が多くなることから節税を意識される方は多いでしょう。
しかし、節税対策には倒産防止共済や保険など、一時的に資金がロックされる性質のものもあります。
一方で、利益にかかる税金を支払ったうえで、手元に残った資金を事業や金融資産などに投資すると、複利の効果が働くことから節税した場合よりも将来的には資産が増えていくケースもあります。
このように、利益に対して節税する場合と、納税して投資する場合とで、どちらが経済的に有利になるかはケースバイケースです。
本記事では、節税対策として倒産防止共済を利用した場合と、納税して残った手残りで投資する場合とをシミュレーション、比較し、またそれぞれのメリット・デメリットについても解説します。
利益を多く手元に残す方法は節税だけではありません。
複数の方法を比較、検討し、事業の見通しに合う最良の選択肢を選びましょう。
目次
節税と納税(投資)どちらがお得?実例付き解説
事業で収益を得た場合、節税と納税はどちらがお得になるのか、実際にシミュレーションすることで確かめることが可能です。
節税には複数の方法がありますが、中でも利用する方が多く節税メリットが大きい、倒産防止共済を利用する場合を今回は想定します。
▶関連コラム:経営セーフティ共済(倒産防止共済)を利用した駆け込み節税とは?決算期に加入する注意点、制度の概要も紹介
一方で、納税した上で手残りを事業や金融資産に投資するケースとして、投資した結果の年間利回りが5%になる場合を想定します。
なお、どちらのケースも節税と投資に回す金額は、倒産防止共済の上限積立額である800万円の場合を想定します。
それぞれのケースにおけるシミュレーション結果は以下のとおりです。
【節税(倒産防止共済)を利用した場合】
倒産防止共済の掛け金:800万円
- 5年後利益額:240万円(利回り30%)
- 10年後利益額:240万円(利回り30%)
- 15年後利益額:240万円(利回り30%)
※節税額を利回りとみなした場合
【納税(投資)を利用した場合】
事業、金融資産への投資額:800万円
利益率を5%として想定
- 5年後利益額:155万円(利回り19%)
- 10年後利益額:352万円(利回り44%)
- 15年後利益額:604万円(利回り75%)
5年間の比較的短期間を想定して利回りを比較すると、倒産防止共済は240万円(利回り30%)、事業に投資した場合は155万円(利回り19%)となり、節税の方がメリットが大きいことが分かります。
一方で、10年、15年と経過した場合を確認すると、倒産防止共済は利益を生む訳ではないことから節税によるメリット(利回り)は変わりません。
事業に投資した場合は、10年、15年と複利の効果も効いて利益額が大きくなり、節税した場合より大きな利益を見込める結果となりました。

橋場先生
このように、節税した場合と納税(投資)した場合とで、対象となる年数や条件によって期待リターンに差が生まれることが分かります。
節税と納税、どちらが適しているのかはケースごとに変わりますので、具体的に相談したい方は、ARK税理士法人までお気軽にご相談ください。
「節税」を選択する場合のメリットとデメリット
より詳しく、節税(倒産防止共済)を選んだ場合の特徴を紹介します。
メリット:安定して30%の利回りを獲得できる
倒産防止共済は制度上、確実に節税のメリットを獲得できますので、30%の利回りを安定して受けることができます。
ただし、倒産防止共済は将来解約したとき800万円が利益として計上されますので、税金の繰り延べにしかならない点に注意が必要です。
デメリット:800万円の資金がロックされる
倒産防止共済は任意の時期に解約する場合は、40か月を超えなければ掛け金をき損してしまいます。
このため実質的に40か月は資金がロックされ、事業を拡大したいと思ったとき、借り入れを返済したいと思ったときなど、800万円を活用できないシーンが生まれる点はデメリットといえます。
「納税(事業や金融資産への投資)」を選択する場合のメリットとデメリット
続いて、節税せずに納税し、手元に残った資金を事業や金融資産などへの投資に回した場合の特徴をお伝えします。
メリット:800万円の資金を事業や金融資産などの投資に回せる
節税せずに手元に800万円の資金を残した場合、800万円は事業や金融資産などの投資に回すことができます。
シミュレーションの表で解説したとおり、事業に投資して継続して5%の利回りを獲得できた場合、10年、15年と投資期間が長くなるにつれて得られる収益額は増えていきます。
このように、投資した資金が複利の効果を受けながら成長していく点が最大の特徴です。
デメリット:収益が安定しない場合がある
メリットでお伝えした「継続して5%の利回り」を出し続けることは難しく、場合によっては平均利回りが5%を下回るケースもあります。
事業への投資、金融資産への投資、どちらも収益が安定せず、期待リターンを得られない場合がある点に注意が必要です。
デメリット:240万円の税金を支払う必要がある
800万円の収益に対して節税を利用しない場合、収益に応じた税金を支払う必要があります。
今回のケースでは240万円の税金を支払う必要がありますので、実質的に手元には560万円の資産が残ることとなります。

橋場先生
このように、得られた収益に対して節税する場合、納税した上で手残りを投資に回す場合、それぞれ特徴が異なります。
どちらを選ぶべきか迷う方は、ARK税理士法人まで、お気軽にご相談ください。
節税と納税(投資)どちらを選ぶべき?
結論として、節税と納税(投資)はどちらを選ぶべきなのでしょうか。
実は明確な回答はありません。
得られた所得、将来的な事業計画、利用できる節税方法など、ケースごとに適切な選択肢が全く異なるからです。
とはいえ、何らかの方針を確認したい方に向けて、ケースごとに最適な選択肢の例をご紹介します。
- 事業で利益を出し続けられる見通しがある ▶ 納税して事業投資
- 安定して年5%以上の利益が期待できる金融投資先がある ▶ 納税して金融投資
- 事業の見通しが立てづらく、将来が不透明 ▶ 節税して支払う税金を減らす
- 事業を継続するための現金が不足する可能性がある ▶ 節税も投資もせずに現金資産で保有する
このように、大まかには事業投資、金融投資、節税対策、現金として保有する、といった方針が考えられます。
まとめ
一定の所得を獲得した場合に、倒産防止共済などの節税対策を取るべきか、事業や金融資産への投資をするべきか、迷う方に向けてそれぞれの特徴をお伝えしました。
実はこちらの疑問に対する明確な回答はなく、各種条件や今後の経営方針によって最適な選択肢は変わります。
このため、経営方針についてのアドバイスもできるタイプの税理士など、税金や経営のプロフェッショナルに相談することをおすすめします。
具体的な相談先を探している方は、「オーダーメイドサポート」で課題を解決するARK税理士法人まで、お気軽にご相談ください。
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